高血圧にはどんな症状がある?血圧が高くなる原因や予防方法を解説【医師監修】

2024年12月27日

この記事を読むのに必要な時間は約6分です。

 「血圧が高い」というワードは、日常会話だけでなくテレビコマーシャルでも耳にする方が多いですよね。高血圧症と聞くと、病気の中でも身近に感じる方も多いはず。

日本では、約4300万人(人口の3分の1(※))が高血圧症と言われており国民病とも表されています。それだけ多くの人が高血圧を持っているため、身近な病気として多くの人に知られています。

しかし、「高血圧」という言葉は知っていても、「血圧が高い状態」という程度しか知らない方はほとんどではないでしょうか。国民病と言われるほど身近な病気だからこそ、症状や原因など高血圧について詳しく知っておきましょう。

※参考:高血圧治療ガイドライン2019

高血圧とは

 高血圧とは、血圧が正常値を超えて高い状態のことを言います。

 

そもそも血圧とは、動脈に流れる血液によって血管の内側にかかる圧力のことを表します。血圧には2種類あり、心臓が収縮して血液を送り出すときの収縮期血圧(=最高血圧)と、心臓が拡張したときの拡張期血圧(=最低血圧)です。収縮期血圧は血圧の上と言われ、拡張期血圧は血圧の下と言われるものです。

 

血圧は環境によって差が生じるため、自宅で測定した「家庭血圧」と、医療機関で測定する「診察室血圧」では基準が異なります。診察室血圧で診断する場合、収縮期血圧(上)が140㎜Hg以上または拡張期血圧(下)が90㎜Hg以上であれば、高血圧と診断されます。

 

ただし、「高血圧」と冒頭で解説した「高血圧症」は異なります。血圧は、痛みや刺激・精神的なストレスなどで一過性に上がる場合があるため、一回の測定では「高血圧症」とは診断されません。繰り返し測定しても高血圧の状態であれば、「高血圧症」と診断されます。

高血圧の症状と原因

 高血圧は「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分類されます。それぞれの特徴や症状を解説します。

本態性高血圧の原因と症状

 本態性高血圧は、生活習慣が起因する高血圧です。血圧に影響しやすい塩分の過剰摂取をはじめ、肥満・アルコールの過剰摂取・運動不足・喫煙・ストレス・加齢などが該当します。

 

また、遺伝子的要因も高血圧に関係すると言われており、家族に高血圧の人がいれば、より本態性高血圧になるリスクが高くなる傾向があります。

 

本態性高血圧は、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。そのため、気付かないうちに進行し、重症化すると頭痛(後頭部)、めまい、立ちくらみ、目がチカチカするなどの症状が出る場合があります。

二次性高血圧の原因と症状

 二次性高血圧とは、さまざまな病気が原因で起こる高血圧です。二次性高血圧の場合は、高血圧症の薬ではなかなか血圧が下がりません。高血圧の原因となる病気を治療することで、血圧の数値も正常化し、高血圧が改善されていくのが二次性高血圧です。

 

二次性高血圧の原因疾患として主に以下が挙げられています。

※参考:高血圧治療ガイドライン

 

二次性高血圧では、最初のスクリーニングがとても重要なポイントとなります。高血圧のほとんどで本態性高血圧の人が多いですが、本態性高血圧症の薬物治療でも改善しなかったり、高血圧が急速に進行したりした場合は二次性高血圧が疑われます。

 

二次性高血圧は、高血圧の症状である頭痛(後頭部)・めまい・立ちくらみ・目がチカチカするといった症状に加え、原因となる疾患の症状も表れます。

主な原因疾患示唆する所見
睡眠時無呼吸症候群いびき・昼間の眠気・肥満
原発性アルドステロン症四肢脱力・夜間多尿・低K血症
腎血管性高血圧急な血圧上昇・腹部血管雑音・低K血症・夜間多尿
腎実質性高血圧蛋白尿・血尿・腎機能低下・腎疾患の既往
クッシング症候群中心性肥満・満月様顔貌・皮膚線条・高血糖
褐色細胞腫発作性高血圧・動揺性高血圧・動悸・頭痛・発汗・神経線維腫
先端肥大症四肢先端の肥大・特有の顔貌
甲状腺機能低下症徐脈・浮腫・活動性減少・脂質・CPK・LDH高値
甲状腺機能亢進症頻脈・発汗・体重減少・コレステロール低値
副甲状腺機能亢進症高Ca血症・夜間多尿・口渇感
大動脈縮窄症血圧上下肢差・血管雑音
薬剤誘発性高血圧薬物使用歴・治療抵抗性高血圧・低K血症

※参考:高血圧治療ガイドライン

高血圧症が与える悪影響

 高血圧症は、初期症状があまりなく、頭痛やめまいなどがあっても「ただ具合が悪いだけ」「風邪気味だ」と放置してしまう方が少なくありません

 

しかし、血管に強い圧力がかかる高血圧が続くと、血管の壁が傷つき徐々に血管が硬くなり厚くなります。この状態が「動脈硬化」と呼ばれるもので、進行すると脳卒中や心臓病・腎臓病などの合併症を発症する可能性があります。合併症によっては、死亡リスクも高くなる危険性が高い状態です。

 

高血圧は、別名「サイレントキラー」とも呼ばれるほど、自覚症状なく症状が進行し大きな合併症を引き起こす原因となります。

 

高血圧が重症化し自覚症状がある方はもちろん、健康診断で高血圧を指摘された場合は、放置せずに医師へ相談してください。高血圧は重病に繋がることを十分に理解しておきましょう。

高血圧にならないための予防方法

 高血圧には、生活習慣が大きく関わっていることが分かりましたよね。二次性高血圧症の場合は、原因疾患があるため予防は難しいですが、血圧を上げないために日常生活を見直すことはとても重要です。

血圧を上げるもの・下げるもの

 そもそも血圧は、どんな状態になると上がり、どんな状態で下がるのでしょうか。それらを理解しておくことが、日常生活で高血圧を予防する行動に繋がるはずです。

血圧を上げるものや行動血圧を下げるものや行動
塩分の過剰摂取十分な休養
アルコール過剰摂取十分な睡眠
運動不足日常的な運動
激しい運動のあとぬるめのお湯への入浴
肥満・過体重アルコール摂取(少量に限る)
加齢夏の暑さ
睡眠不足
ストレス
冬の寒さ
外気温の差(例:入浴でいきなり熱いお湯に浸かったとき・暖かい室内から寒い外に出たとき)
動脈硬化や甲状腺などの病気
遺伝的な体質

ご覧のように、高血圧に繋がるものや行動は日常に多く潜んでいます。しかしこれらをマイナスに感じることはありません。裏を返せば日常生活を見直すことで、高血圧の予防にも繋がるのです。

高血圧の予防方法

 「日常生活の見直し・改善」の具体的な内容を紹介します。

食生活の改善

 まずは食生活の改善についてです。塩分やアルコールの摂りすぎは血圧を上げてしまうと解説しましたが、どの程度摂取していいのでしょうか。

 

もっとも重要な食生活の改善は、「塩分の摂取量を減少させること」で。高血圧治療ガイドライン2019では、1日あたりの塩分量は6gを目安としています。日本人の平均塩分摂取量は1日約10gと言われているので、減塩を意識した献立を考える必要があります。

 

具体的な対策として、以下が挙げられます。

上記の対策方法を活用したレシピを紹介します。

【楢橋先生のおすすめ減塩レシピ】
1.ぶりとハマチの刺身を用意する
2.レモン汁にわさび・生姜・にんにくを入れて混ぜる
3.刺身に2をつけたり和えたりしてお召し上がりください!

また、アルコールについては男性・女性で異なります。酒種ごとの目安量は以下の通りです。

酒種男性の1日適正飲酒量女性の1日適正飲酒量
日本酒1合0.5合
ビール500ml250ml
焼酎半合4分の1合
チューハイ5%を500ml5%を250ml

アルコール摂取量の調整に加え、週2日以上の休肝日も設けましょう。肉や魚ばかり食べるのではなく、塩分量を考えたバランスのよい食事が好ましいです。

日常的に運動をする

 適度な運動は、血圧を下げるために大きな役割を果たします。運動をすれば汗をかきますよね。汗には塩分が含まれているため、食事で摂取した塩分を体外へ排出することができます。

 

また、血管が硬くなると血圧が上昇する仕組みがあり、血管の柔軟性は運動不足が関係してきます。運動を行うことで血管の柔軟性が保たれ、血圧の正常化に繋がります

 

日常的に運動を続けることで、高血圧と深く関係する「肥満」も予防できます。運動を続け、BMIが25を越さないように体重調整も同時並行させていきましょう。

 

具体的には、有酸素運動・30分~60分ほどが目安で、頻度や期待できる降圧効果は以下の通りです。

運動内容頻度高血圧患者の場合:収縮期血圧の減少効果血圧正常患者の場合:収縮期血圧の減少効果
有酸素運動 30分~60分(少し息が弾むくらいの早歩き)週に5日以上ー5㎜Hgー3㎜Hg

参照:Circ Res.2021 Apr 2;128(7):827-46/hypertension.2018 Jun;71(6):e13-115/N Engl J Med.2021 Sep 16;385(12):1067-77

ストレスを溜めない

 ストレスのない生活は難しいですが、過度のストレスや日常的にストレスのかかる生活は血圧の向上に繋がります。ストレスがかかると、交感神経が活発になり、さらに高血圧が重症化した場合の自覚症状も感じにくくなってしまいます。

 

とくに一人でため込む性格の人や、身体だけでなく心が緊張した状態が続くと血圧が上がりやすい傾向もあります。

 

性格を直したり緊張しずに過ごしたりするのは現実的に難しいので、自分の性格を理解してストレスの発散法を見つけましょう。ため込みすぎず、自分の心と向き合い「最近ストレスが溜まっている気がする」と感じたらこまめにストレスを発散してください。

禁煙する

 高血圧の人に多いのが喫煙者です。たばこは、高血圧だけでなくがんや肺疾患などの重病へも大きく関わってきます。

 

さまざまな病気を予防するためにも、禁煙しましょう。自分で禁煙するのが難しかったり依存症だと感じたりする場合は、禁煙外来で治療を行うこともひとつの方法です。

高血圧は放っておかずに医師に相談を

 高血圧は、自覚症状がなかったり自覚症状があっても「高血圧」と気付くのが難しかったりします。日常生活で予防もできれば、悪化する可能性もある病気です。放置すると大きな病気へ繋がるリスクもあるので、健康診断で高血圧を指摘された方・自覚症状がある方は放置せずに医師へ相談してください。

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監修医師

楢橋 和真

楢橋 和真

経歴
2011年3月
獨協医科大学医学部医学科卒業
2011年4月
千葉県がんセンター 初期研修
資格

一般社団法人日本救急医学会 救急科専門医

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