
健康診断で「血圧が高め」と指摘され、薬に頼る前にまずは食事で対策したいと考える方は多いのではないでしょうか。
高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行し、放置すると心筋梗塞や脳卒中など重大な病気につながるリスクがあります。
しかし、日々の食事を少し工夫することで、血圧をコントロールすることは十分に可能です。
この記事では、一般的な「減塩」に加え、あまり知られていない栄養素の働きや、血圧ケアに役立つ食品をご紹介します。コンビニやスーパーで手に入りやすいものを中心に紹介しているため、忙しい方でも実践しやすい内容です。
日々の食事から無理なく始められる方法ばかりですので、ぜひ参考にして取り入れてみてください。
食事で血圧が下がる理由|3つの栄養素に注目
高血圧の原因としてよく知られているのが、塩分(ナトリウム)の摂りすぎです。
塩分が体内に多くなると、それを薄めるために血管内へ水分が引き込まれ、血液量が増えて血圧が上がります。
そのため「減塩」は高血圧対策の基本ですが、血圧をコントロールする上で重要な栄養素はそれだけではありません。
ここでは、食事から摂取したい3つの栄養素をご紹介します。
余分な塩分を排出する『カリウム』
カリウムには、体内の余分な塩分(ナトリウム)を尿として排出しやすくする働きがあります。塩分(ナトリウム)とカリウムのバランスを保つことで、血圧の上昇を防ぐ効果が期待できます。
現代の食生活では、外食や加工食品によって塩分の摂取が多くなりがちな一方、カリウムは不足しやすい傾向があります。
こうしたバランスの乱れを整えるためにも、カリウムを意識して摂ることが大切です。
※腎臓の機能が低下している方(例:慢性腎臓病の方など)は、カリウムが体内に蓄積しやすくなるため、摂取量に注意が必要です。医師に相談のうえで調整してください。
血管をしなやかに保つ『マグネシウム』
マグネシウムは、血管の筋肉の緊張を和らげるミネラルです。カルシウムの働きを適度に抑えることで、血管の過剰な収縮を防ぎ、血圧の安定に貢献すると考えられています。
この作用から、マグネシウムは「天然の血管のリラックス薬」とも呼ばれることがあります。
現代の食生活ではマグネシウムの摂取量が不足しやすいため、意識して取り入れることが大切です。
塩分の排出をサポートする『食物繊維』
食物繊維は、腸内環境の改善や便通促進を通じて、ナトリウムの排出を間接的にサポートする可能性があるとされています。これにより、塩分の摂りすぎによる血圧上昇を抑える効果が期待できます。
さらに、食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑えたり、悪玉コレステロール(LDL)の低下にも関与したりと、血管の健康維持に幅広く貢献する栄養素です。
結果として、血圧の安定にもつながります。
血圧を下げる食品リスト|今日から取り入れたいものと頻度・量を工夫したい食品

血圧ケアの基本は、毎日の食事から始まります。
ここでは、積極的に取り入れたい食品と、できるだけ頻度と量を工夫したい食品を一覧でご紹介します。
血圧ケアにおすすめの食品
以下の食品には、カリウム・マグネシウム・食物繊維・不飽和脂肪酸など、血圧の安定に役立つ栄養素が多く含まれています。
⚫︎野菜全般
多くの野菜は塩分が少なく、カリウムやマグネシウム、食物繊維が豊富です。特におすすめの野菜は以下のとおりです。
- ほうれん草
- えだまめ
- たけのこ
- にら
- 小松菜
- かぼちゃ
- ごぼう
- ブロッコリー
- えりんぎ
ドレッシングは減塩タイプを少量にし、薄味のスープにして汁ごと食べるのも効果的です。
⚫︎フルーツ全般
果物は基本的に無塩で、カリウムやマグネシウム、カルシウムを多く含みます。手軽に摂れるおすすめのフルーツは以下のとおりです。
- バナナ
- キウイフルーツ
- みかん
- いちご
- メロン
- アボカド
※血糖値が高い方は果糖の摂りすぎに注意が必要です。1日の目安は1単位80kcal程度(バナナ1本、りんご1/2個など)です。
⚫︎豆類・大豆加工品
大豆製品は、カリウム、マグネシウム、カルシウム、食物繊維、植物性たんぱく質が豊富です。おすすめの食品は以下のとおりです。
- 納豆(たれ・からしを除く)
- 豆腐
- 油揚げ
- 無調整豆乳
- きな粉
- 乾燥豆
- 食塩無添加のミックスビーンズ
納豆にはラー油、黒こしょう、黒酢、香味野菜などを使って味付けすると、塩分を抑えながら風味を楽しめます。
⚫︎プレーンヨーグルト
ヨーグルトは塩分が少なく、カルシウムを豊富に含んでいます。
フレーバー付きではなく、無糖のプレーンタイプを選び、果物やきな粉と一緒に食べるのがおすすめです。
⚫︎食塩無添加のナッツ類
ナッツ類は無塩で、ミネラル、食物繊維、ビタミンE、不飽和脂肪酸が豊富です。
そのまま食べるだけでなく、刻んで料理に加えるのもよい方法です。
⚫︎米
米は無塩の主食で、パンや麺類よりも塩分を抑えやすい傾向があります。
白米よりも玄米にすることで、さらにカリウムや食物繊維を多く摂ることができます。
隠れ塩分に注意!摂取を工夫したい食品
塩分(ナトリウム)の多い食品は、血圧を上昇させる原因となります。
以下のような食品が代表例です。できるだけ控えるか、食べる頻度や量を工夫するようにしましょう。
⚫︎加工食品
- ハム、ソーセージ、ちくわ、かまぼこなどの練り物
- 漬物、梅干し、チーズ
- インスタント食品(カップ麺、即席スープなど)
購入時は、パッケージに記載された「食塩相当量」を確認する習慣をつけましょう。
⚫︎塩分の多い料理
- ラーメン
- ミートソーススパゲティ
- うどん・そば(特に汁)
- 丼物(かつ丼など)
- ピザ
- カレーライス
外食や市販品を選ぶときは、汁を残す、ルーを少なめにするなどの工夫がおすすめです。
⚫︎調味料・ドレッシング類
- 食塩
- 顆粒だし
- しょうゆ(濃口・薄口)
- 味噌
- オイスターソース
- めんつゆ
- ドレッシング、ソース
使用量を減らす、減塩タイプに切り替えるなどの対策が効果的です。かけるのではなく「つける」ことで、塩分の摂取を抑えやすくなります。
無理なく続けられる!コンビニ・スーパー活用の食事テクニック

血圧ケアを続けるには、日々の食事を手軽に整える仕組みづくりが大切です。忙しい方でも取り入れやすい方法のひとつが、コンビニやスーパーで手に入る食品を上手に活用することです。
ここでは、商品を選ぶ際のポイントと、手間をかけずに栄養素を摂る工夫をご紹介します。
塩分を抑えた食品の選び方
商品を選ぶ際は、栄養成分表示の「食塩相当量」を確認しましょう。
日本高血圧学会では、塩分摂取は1日6g未満が推奨されており、1食あたり2g以下が目安です。「減塩」などの表示がある商品でも、必ず実際の数値を確認することが大切です。
コンビニでも、以下のような塩分を控えやすい食品を見つけることができます。
- プレーンヨーグルト(無糖)
- 無調整豆乳
- サラダチキン(プレーンや減塩タイプ)
- 冷凍野菜やカット野菜
- 食塩無添加のミックスナッツやミックスビーンズ
- 納豆(たれ・からしを使わず、自分で味つけ)
このように、加工度が低く、味付けが控えめなものを選ぶことで、塩分を調整しやすくなります。
調理いらずで取り入れられる食べ方の工夫
コンビニで購入した食品は、ちょっとした組み合わせやアレンジで、血圧ケアに役立つ食事に変わります。
以下は、調理不要でできる具体例です。
- 無調整豆乳にきな粉を混ぜて飲む
- プレーンヨーグルトにカットフルーツやバナナを加える
- ミックスビーンズをカップサラダにトッピングする
- ナッツをそのままおやつとして食べる
- 冷凍野菜をレンジで温めてスープや味噌汁の具にする
- 納豆に黒酢や香味野菜を加えて味つけする
すべてコンビニで揃えられる食品ばかりなので、忙しい日でもすぐに取り入れることができます。
血圧を下げる食べ物についてのよくある質問
Q1. 血圧を下げる食事療法は、どのくらいで効果が出ますか?
A1. 血圧の改善効果は、取り組む内容や体質によって異なりますが、減塩などは早ければ数日〜数週間で変化が見られることもあります。
たとえば、塩分摂取量を1日6g未満に抑えることは日本高血圧学会でも推奨されており、実践することで比較的早期に効果を感じやすい方法の一つです。
一方、カリウム・マグネシウム・食物繊維などの栄養素は、継続的に取り入れることで中長期的に血圧を安定させることが期待されます。即効性はありませんが、減塩とあわせて取り組むことで、より効果的な改善につながります。
Q2. 血圧を下げる飲み物はありますか?お茶やコーヒーは控えたほうがいいのでしょうか?
A2. 食事と同様に、飲み物の選び方も血圧のコントロールに影響を与える可能性があります。たとえば、カリウムを多く含む無塩の野菜ジュースや、カフェインの少ない麦茶・ルイボスティーなどのノンカフェイン飲料は、血圧への負担が少ないとされています。
一方で、カフェインを多く含むコーヒーや濃い緑茶は、一時的に血圧を上昇させることがあるため、飲みすぎには注意が必要です。個人差はありますが、1日3〜4杯程度であれば問題ないとされている研究もあります。
コーヒーが血圧にもたらす影響について、こちらの記事で詳しく記載しておりますのでぜひご覧ください。
また、水分をしっかり摂ることは血流を良好に保つためにも大切です。冷たすぎる水や塩分を含むスポーツドリンクなどは避け、常温〜ぬるめの水や麦茶などを意識的に摂ることがおすすめです。
Q3. 家族が料理を担当しているため、自分で食事内容を調整するのが難しいのですが、できることはありますか?
A3. ご自身で調理を行わない場合でも、食事内容に対して意識的に関わることで、血圧ケアに取り組むことは十分可能です。
たとえば、食卓に並んだ料理の中で塩分の多いおかずを控えめにする、スープやタレ類を残す、追加の塩分を避けるといった工夫は、ご自身の判断で行うことができます。
また、プレーンヨーグルトや無調整豆乳、納豆など、塩分を抑えつつ血圧の安定に役立つ食品を日常的に取り入れることも一つの方法です。
ご家族に大きな負担をかけずとも、日々の選択を少し意識することで、血圧改善につながる行動は十分に可能です。
まとめ:毎日の小さな工夫が、血圧を下げる第一歩
高血圧の改善は、毎日の食事に少し工夫を加えることから始められます。
減塩に加えて、カリウム・マグネシウム・食物繊維を含む食品を取り入れることも、血圧の安定に役立ちます。
たとえば、
- 味付けは「かける」より「つける」
- 野菜や果物、豆類、海藻などを一品追加する
- 加工食品や濃い味付けを控える
といったシンプルな工夫でも、継続することで効果が期待できます。
「食事で血圧を下げたいけれど、自分のやり方で合っているか不安」という方は、医師に相談しながら進めるのも安心です。
最近では、高血圧に特化したオンライン診療サービス「ヤックル」のように、通院せずに自宅から相談できる選択肢もあります。
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