生活習慣病とは

自覚症状がほとんどない生活習慣病

生活習慣病とは、日々の食事や運動習慣などが深く関与して発症する疾患のことです。具体的には、高血圧や脂質異常症、糖尿病や高尿酸血症、狭心症や心筋梗塞、がん、歯周病などを指します。

生活習慣病は、とても身近なものです。たとえば、(*1)20歳以上の日本人の約2人に1人は高血圧だと言われています。しかし、生活習慣病にはほとんど自覚症状がありません。そのため、自分が生活習慣病であることに気が付かないまま生活している方も多くいます。

自覚症状がほとんどない生活習慣病ですが、知らず知らずのうちに脳や心臓、血管などにダメージを与えていくので注意が必要です。現在の医学で生活習慣病を完治させることは残念ながらできません。ただし、症状が初期の段階であれば、食生活に気をつけたり運動する習慣を作ったりすることで軽快させることができます。

(*1) 高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (参照2024-01-08)

生活習慣病の原因

生活習慣病の原因には、主に次のものがあります。

  • 不適切な食習慣
  • 運動不足
  • 喫煙
  • 過度な飲酒
  • ストレス
  • 疲労
  • 喫煙
  • 睡眠不足

特に40代以上は、生活習慣病になりやすいので注意が必要です。20代や30代ではアトピー性皮膚炎やうつ病などを患っている方が多いのですが、(*2)40代以降になると高血圧や糖尿病、脂質異常症などを抱えている方が増加します。40代以降では肥満になりやすく、それが引き金となってさまざまな生活習慣病を引き起こしやすくなっているのです。

ストレスが生活習慣病の原因となるのは、ストレスによって飲酒量や喫煙本数が増加したり、食べすぎてしまったりすることが関係しています。ストレスそのものが高血圧や糖尿病のリスクを高めることも知られているため、あまり溜め込まないようにすることが大切です。

(*2) 年代別・世代別の課題(その2)厚生労働省(参照2024-01-08)

生活習慣病を治すには

生活習慣病は、名前の通り生活習慣が大きく関係している疾患です。治療するには、まず生活習慣の見直しをしなければなりません。食事療法や運動療法を行い、症状によっては薬物療法も合わせて治療を進めていきます。

食事療法

食事療法とは、食習慣を改善することで病気の改善を目指すものです。適切な摂取カロリーにしたり、減塩を心がけたりしながら1日3食しっかり食べて体を健康な状態へと導いていきます。

適切な摂取カロリーに抑えることは、食事療法の基本です。総摂取カロリーのうち約40~60%を炭水化物、約20%をたんぱく質、脂質からの摂取量は25%以下にするのが望ましいとされています。

薬物療法を行っている方も、食事療法は併用して行うようにしてください。食事療法もしっかりと行うことで、薬によるコントロールがうまくいくようになったり、服用する薬の量を減らしたりできるようになります。生活習慣病の予防に効果的な食事療法を行うためには、次のポイントを押さえることが大切です。

  • 1日3食をバランス良く食べる
  • 食べ過ぎないように注意する
  • 食塩の摂り過ぎに注意する
  • 動物性脂肪を摂り過ぎない
  • ビタミン類を摂る
  • 食物繊維を摂る
  • カルシウムを摂る
  • 糖分を摂り過ぎないようにする
  • 外食や加工食品に頼り過ぎない

生活習慣病のなかでも高血圧の治療に塩分摂取量の制限は欠かせません。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、塩分の摂取量を成人男性で一日あたり7.5g未満、成人女性で6.5g未満にするように推奨されています。外食や加工食品には塩分が意外と多く含まれていることがあるため、注意してください。

運動療法

運動療法とは、体を動かすことで疾患の治療を行うものです。糖尿病や高血圧、脂質異常症などの発症には、運動不足が関与していることが分かっています。

運動と聞くと身構えてしまう方がいるかもしれませんが、ハードな運動をこなす必要はありません。ウォーキングやジョギング、サイクリングや水泳などのように軽く息が上がる程度の運動を毎日続けることが重要です。

激しい運動を行うと、かえって健康を損なうことがあるので注意してください。人によっては運動が原因で不整脈や狭心症を発症することがあります。インスリンを使った薬物治療をしている方は、食後1~3時間の間に運動を行うのがおすすめです。

薬物療法

糖尿病の場合

糖尿病の場合は、インスリンの効きを良くする薬やインスリンの分泌を促す薬、糖の吸収を阻害する薬などが用いられます。次のような種類の薬が代表的です。

  • ビグアナイド薬
  • チアゾリジン薬
  • DPP‐4阻害薬
  • スルホニル尿素薬
  • α‐グルコシダーゼ阻害薬
  • SGLT2阻害薬

どのタイミングで血糖値が上昇しやすいのか、どれくらい血糖値が上昇しているのかに合わせて薬の種類を変えて治療を行います。

高血圧症の場合

高血圧の薬物治療では、降圧薬を使う治療法が一般的です。降圧薬には、次のような種類があります。

  • Ca拮抗薬
  • ACE阻害薬
  • 直接的レニン阻害薬
  • β遮断薬
  • α遮断薬
  • MR拮抗薬

このほか、血液中の水分を減らして血圧を下げる利尿薬もよく用いられる薬です。患者さんの年齢や血圧の状態に合わせて適切な治療薬を選択します。

脂質異常症(高脂血症)の場合

脂質異常症の場合は、まずどの値に異常が見られるのかを明らかにすることが大切です。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高くHDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い場合はスタチン系、中性脂肪が多い場合はフィブラート系などが用いられます。

このほか、コレステロールの排泄を増加させる陰イオン交換樹脂、小腸でコレステロールの吸収を阻害する小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、中性脂肪の合成を阻害するニコチン酸誘導体なども代表的です。

高尿酸血症(痛風)の場合

高尿酸血症では、尿酸の値を下げる尿酸生成抑制薬、尿酸の排泄を促す尿酸排泄促進薬などを尿酸値のコントロール薬として使うことが基本です。

通風の発作が出ているときは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用します。発作が起きているときに尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬を使用すると症状の悪化を招くことがあるので要注意です。

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