運動とHDLコレステロールの関係
運動は、HDLコレステロール値を高める効果が期待できます。以下の3つの主要なメカニズムについて解説します。
脂質代謝の促進
運動をすることでリポ蛋白リパーゼ (LPL) 活性を増加させ、トリグリセリド を分解し遊離脂肪酸 を生成します。(トリグリセリドは中性脂肪の一種で、血液検査などで測定される中性脂肪値(TG)は主にトリグリセリドです。)遊離脂肪酸は、肝臓でケトン体 に変換され、エネルギー源として利用されます。このケトン体の生成がHDLコレステロール生成を促進させます。
逆コレステロール輸送の強化
運動は、ABCA1 や SR-B1 などの膜タンパク質の活性化を介して、HDLコレステロール による余剰コレステロールの回収を促進します。
ABCA1は、細胞内から余剰のコレステロールをHDLコレステロールへ輸送する役割を担います。SR-B1の役割は、HDLコレステロールを細胞内へ取り込むことです。
血管内皮細胞から回収された余剰コレステロールは、HDLコレステロールによって肝臓へ運搬されます。肝臓では、余剰コレステロールは胆汁酸に変換し排泄されます。
血管機能の改善
運動は、一酸化窒素 (NO) の産生を増加させ、血管拡張を促進します。
そしてNOは血管内皮細胞の緊密結合を緩和し、HDLが血管壁へ透過しやすくすることでHDLによるコレステロール取り込みを促進させます。
また血管拡張 は、血流の増加をもたらしますが、そのことによる効果は以下のとおりです。
- 酸素や栄養素の供給増加
- 老廃物の排出促進
- 血圧の低下