結論:肥満は“治せる”病気です

肥満は、単なる「見た目の問題」ではなく、医学的にはれっきとした疾患です。日本肥満学会では、BMI(体格指数)が25以上を「肥満」と定義しています。ちなみに、身長160cmの方の場合、体重が64kg以上になるとBMI25を超え、肥満と判定されます。さらに、肥満により高血圧・脂質異常症・糖尿病などの健康障害を併発または発症リスクが高まっている状態を「肥満症」と呼び、医学的治療が必要とされます。
肥満は、治療によって改善できます。特に内臓脂肪型肥満は、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病のリスクを高め、将来的な心疾患や脳血管疾患につながることも。
「治したい」と思った今がチャンスです。治療は遅すぎることはありません。まずは一歩踏み出すことから始めましょう。
多くの人が肥満改善に失敗してしまう理由

肥満を改善しようと努力しても、多くの人が途中で挫折してしまいます。その原因は「自分の意志が弱いから」と思いがちですが、実際には生活環境や体質、医学的な要因が関係していることも少なくありません。ここでは、代表的な失敗理由を3つご紹介します。
継続できる環境が整っていない 忙しさや生活の乱れにより、健康的な行動を継続できない人が多くいます。運動の時間を確保しづらい、外食が多いなど、日常生活の中で無理なく続けられる仕組みづくりが重要です。たとえば、歩数を意識したり、買い物を空腹時にしないといった工夫が有効です。
自己流のダイエットに頼りすぎる インターネットやSNSで見かけた情報をもとに食事制限や運動を始めても、効果が出なかったり体調を崩してしまうこともあります。自分の体質や持病に合った方法でないと逆効果になりかねません。専門家のアドバイスを受けることが大切です。
短期的な結果を求めすぎる すぐに体重を減らしたいという焦りから、極端な糖質制限や断食を行うと、筋肉量の減少や代謝の低下を招き、リバウンドの原因になります。体重よりも健康状態の改善を目標に、中長期的な視点で取り組むことが必要です。
肥満改善に成功する人の3つの共通点
- 健康を目的にしている 見た目の変化だけでなく、血液検査の数値や血圧、体調の改善といった「健康状態の数値」を意識することで、取り組みに意味を見出しやすくなります。体重よりも健康という本質に目を向けることで、モチベーションの維持にもつながります。
- 医療をうまく活用している 自力でのダイエットが難しいと感じたとき、早めに医師や専門家に相談できる人は成功率が高い傾向にあります。生活習慣病の兆候が見つかれば、必要に応じて薬の処方も含めた治療が可能です。
- 続ける工夫をしている 毎日の記録や定期的な振り返り、簡単にできるルール化など、自分なりの“継続する仕組み”を作っている人は、無理なく長く続けることができます。完璧を求めず、できることを少しずつ続けています。
肥満を改善させるための5つのポイント

家族や医師の支援を得る: 周囲の協力は成功の大きな要因です。家族と一緒に食事改善に取り組んだり、定期的に医師の診察を受けて状況をチェックすることで、「一人じゃない」という安心感が生まれます。続ける力になります。
目標を数値化して見える化する: 体重だけでなく、BMI・腹囲・コレステロール値・血圧など、具体的な数値目標を設定しましょう。「毎月1回測定」「アプリで記録」などの習慣を取り入れると変化が可視化され、モチベーションの維持に効果的です。
習慣より仕組みをつくる: 朝の体重測定・食事内容の記録・歩数チェックなど、日常に取り込みやすい“仕組み”を持つことが継続のカギです。たとえば冷蔵庫に「健康メモ」を貼るなど、無意識に健康を意識できる環境づくりを意識しましょう。
医療の力を活用する: 血液検査で脂質異常症が見つかった場合、スタチン系の薬を用いた治療が効果的です。薬物治療を併用することで、内臓脂肪の改善や動脈硬化予防につながります。特に自己管理が難しい方は、医師の指導で治療を始めるのが安心です。
短期的な結果より継続性を重視: 短期間で結果を求めると無理な制限になり、リバウンドの原因にも。1ヶ月に1〜2kgの減量を目安に、半年〜1年後の健康状態をゴールに設定しましょう。小さな成功を積み重ねることが長続きの秘訣です。
医療の力で“本気の治療”を始めるという選択
「検査数値が悪化しているのに見た目は変わらない」という人は、脂質異常症やメタボリックシンドロームを抱えている可能性があります。血液検査によってLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪、HDL(善玉)コレステロールのバランスを知ることが第一歩です。
治療としては、食事・運動とあわせて、スタチンやエゼチミブなどの薬剤を組み合わせることで、動脈硬化の進行を防ぎ、心血管リスクを下げることができます。
当クリニックでは、オンライン診療を通じて生活習慣病に対応しています。忙しい方でも、通院不要で専門医の診察を受け、薬の処方や生活指導を受けられる体制を整えています。
よくある質問
Q1:スタチンの副作用が気になります。
A:まれに筋肉痛や肝機能の上昇がみられることがありますが、医師の指導のもとで安全に使用できます。また定期的な血液検査で管理したりします。
Q2:薬をやめたらリバウンドしませんか?
A:薬だけに頼らず、生活習慣を整えることで、リバウンドのリスクは下げられます。薬は補助的な役割と考えてください。
Q3:オンライン診療でも薬の処方はできますか?
A:はい、当院ではオンラインでの問診・診察、必要に応じて血液検査結果の確認を行う、薬の処方が可能です。薬はご自宅に配送いたします。
まずは一歩踏み出すだけ|変化はここから始まる
「肥満を治したい」という思いは、あなたの健康への第一歩です。完璧なスタートでなくて構いません。まずは現状を知り、できることから始めることが大切です。
当クリニックでは、医師による生活指導や必要に応じた薬物治療を通じて、継続可能な肥満治療を提供しています。自宅からでも診療が受けられるオンライン診療を活用し、無理のない形で生活改善を進めていきましょう。