ジャディアンスの効果を徹底解説

2025年12月20日

ジャディアンスは、有効成分エンパグリフロジンを含むSGLT2阻害薬です。SGLT2阻害薬は、腎臓での糖の再吸収を抑えることで、余分な糖を尿中に排泄し、血糖値を下げる働きを持っています。

日本では主に2型糖尿病の治療薬として使用されており、近年では心不全や慢性腎臓病に対する保護効果も注目されています。

ジャディアンスの効果

ジャディアンスの主な効果

血糖値を下げる効果

ジャディアンスは、インスリンの分泌を無理に増やさないため、低血糖を起こしにくいという特徴があります。食事療法や運動療法だけでは改善が難しかった血糖値が、ジャディアンスの併用によって安定してきたというケースも多く報告されています。

HbA1cや食後血糖値の改善が期待でき、糖尿病治療の基礎薬として位置づけられることもあります。

体重減少効果

ジャディアンスでは、1日におよそ70g(約280kcal:おにぎり一個半相当)分の糖が尿中に排泄されるため、エネルギー摂取量が自然に減少します。この仕組みにより、無理な食事制限をしなくても体重が緩やかに減少する効果が期待されます。

臨床試験では、24週間で平均2〜3kg程度の体重減少が確認されています。

心臓・腎臓への保護効果

近年の研究により、ジャディアンスは血糖値改善だけでなく、心不全の再入院リスク低下腎機能悪化の抑制といった効果も示されています。

糖尿病を長期間抱えることで起こりやすい合併症リスクを下げる点も、ジャディアンスの大きな特徴です。

ジャディアンスの効果はいつから出る?

効果の現れ方には段階があります。

  • 1〜2週間:尿量の増加や体内の水分変化を感じることがある
  • 4〜8週間:血糖値の安定や体重の変化を感じ始める人が増える
  • 3〜6か月:体重減少・代謝改善効果が安定する

短期間で大きな変化を期待するよりも、継続的な使用による中長期的な改善を目指すことが重要です。

ジャディアンスの作用機序

ジャディアンスの働きを理解するポイントは、「腎臓での糖の扱われ方」にあります。

私たちの腎臓は、血液をろ過して尿をつくる際、本来は体に必要な糖分を再び血液中に戻す仕組みを持っています。このときに働いているのがSGLT2(ナトリウム・グルコース共輸送体2)というたんぱく質です。

通常、血液中の糖は一度尿に出されても、SGLT2によってほとんどが再吸収されます。そのため、血糖値が高い状態でも、糖は体内に戻り続けてしまいます。

ジャディアンスは、このSGLT2の働きをブロックすることで、本来なら体に戻されるはずだった糖をそのまま尿として体の外に排出します。

その結果、血液中の糖が自然に減り、血糖値が下がったり、1日あたり約70g(約280kcal)分の糖が体外に排出され、エネルギー収支がマイナスになります。

この「余分な糖を体の外に捨てる」という作用は、インスリンの分泌量に依存しないため、低血糖を起こしにくいという特徴にもつながっています。

また、エネルギーが少しずつ失われる状態が続くことで、短期的には体内の水分量が減り、中長期的には体脂肪の減少につながっていきます。

ジャディアンスによる体重減少は、急激に痩せるというよりも、生活習慣の改善を後押しする形で、緩やかに体重が落ちていく点が特徴です。

副作用と注意点

比較的起こりやすい副作用

特に女性では性器感染症が起こりやすいため、違和感があれば早めに医師へ相談することが大切です。

これらの感染症が起こりやすくなる理由として、ジャディアンスの作用機序が関係しています。ジャディアンスは、糖を再吸収せずにそのまま尿として排出するため、尿中に糖が含まれる状態(尿糖)が生じます。この尿中の糖を栄養源として細菌や真菌が繁殖しやすくなり、その結果、尿路感染症や性器感染症(カンジダ症など)が起こりやすくなると考えられています。ただし多くの場合は早期に対応すれば重症化することは稀です。

  • 尿路感染症・性器感染症(膣カンジダ症、亀頭包皮炎など)
  • 頻尿・多尿
  • 口渇、脱水症状

注意が必要な副作用

ジャディアンスは比較的安全性の高いお薬ですが、まれに注意すべき重篤な副作用が報告されています。代表的なものに、正常血糖ケトアシドーシス急性腎障害があります。

正常血糖ケトアシドーシスは、血糖値がそれほど高くない状態でも体内でケトン体が増加し、体が酸性に傾いてしまう状態です。特に、食事量が極端に少ない場合や脱水があるとき、強い体調不良が続いているときには発症リスクが高まるとされています。

また、ジャディアンスは尿中に糖を排出する作用があるため、脱水状態になると腎臓に負担がかかり、急性腎障害を引き起こす可能性があります。

効果を高めるために大切なポイント

ジャディアンスは、薬だけに頼るのではなく、生活習慣の見直しと併用することで効果を発揮しやすくなります。

  • 1日2Lを目安にした十分な水分摂取(*その他病気をお持ちの方は医師の判断を仰いでください)
  • バランスの取れた食事
  • 無理のない有酸素運動や軽い筋トレ
  • 定期的な血液検査・尿検査

ジャディアンスはどんな人に向いている?

ジャディアンスは、血糖値のコントロールだけでなく、体重管理にも配慮した治療を考えている方に向いているお薬です。血糖値を下げながら体重の増加を抑えたい、あるいは体重を少しずつ改善していきたいと考えている方にとって、治療の選択肢の一つとなります。

また、食事や運動などの生活習慣の見直しにも前向きに取り組める方との相性が良い薬です。日々の生活改善と組み合わせることで、ジャディアンスの効果をより安定して引き出しやすくなります。

一方で、注意が必要なケースもあります。ジャディアンスは尿中に糖を排出する作用があるため、感染症を繰り返しやすい方では慎重な判断が求められます。さらに、高齢の方や脱水を起こしやすい方では、体調変化により副作用のリスクが高まる可能性があります。

オンライン診療での処方について

ジャディアンスは処方箋医薬品のため、医師の診察が必要です。オンライン診療であっても、血液検査結果や症状を確認したうえで処方されます。

通院が難しい方でも、定期フォローを受けながら治療を継続しやすい点がオンライン診療のメリットです。

まとめ

ジャディアンスは、血糖値改善を中心に、体重減少や心臓・腎臓の保護効果も期待できるお薬です。一方で、副作用のリスクもあるため、自己判断での使用は避け、必ず医師の管理下で使用することが重要です。

長期的な健康管理の一環として、生活習慣改善と組み合わせながら上手に活用していきましょう。

監修医師

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