
花粉症による目のかゆみ対策は、1日に複数回目薬をさす方法が基本だとお考えではないでしょうか。しかし現在では、1日1回まぶたに塗布するだけでケアが可能な「眼瞼クリーム」という治療の選択肢が存在します。
花粉症の時期、目のかゆみに悩まされながらも、目薬が苦手だというご相談を受けることは少なくありません。また、コンタクトレンズをしたままでは点眼しにくい、メイク崩れが気になって日中のケアが負担になるといった課題を抱える方もいらっしゃいます。
本記事では、ニュースなどでも話題となっている世界初のアレルギー性結膜炎治療用クリーム剤(アレジオン眼瞼クリーム0.5%)について、その効果やメカニズム、従来の点眼薬との違いを解説します 。
話題の「眼瞼クリーム」とは?
2024年5月に発売された「アレジオン眼瞼クリーム0.5%」は、アレルギー性結膜炎の治療を目的とした医療用のクリーム剤です 。
有効成分と用法
有効成分として「エピナスチン塩酸塩 0.5%」を含有しています 。用法としては、1日1回、上下のまぶた(眼瞼)に適量を広げて塗布することが定められています 。
なぜ「まぶた」に塗って効くのか?(浸透メカニズム)

まぶたの表面(皮膚)に塗布した成分が、皮下組織を経て、結膜組織(白目の表面やまぶたの裏側)へと徐々に浸透し、継続的に拡散する仕組みが採用されています 。点眼液の5~10倍の濃度(0.5%)を持たせることで、皮膚から十分な量の薬物が浸透することが確認されています 。
花粉症による目のアレルギー症状と、眼瞼クリームの作用メカニズム
眼瞼クリームの効果を理解する前提として、アレルギー性結膜炎が起こる病理生理のメカニズムについて解説します。
アレルギー反応のメカニズム
アレルギー性結膜炎は、I型アレルギー反応(即時型アレルギー)によって引き起こされることが知られています 。 花粉などのアレルゲンが眼に接触すると、マスト細胞(肥満細胞)の表面にあるIgE抗体に結合し、数分以内に細胞からの脱顆粒(ヒスタミンなどの放出)が起こります 。放出されたヒスタミンが受容体(H1受容体)に結合することで、かゆみや充血、流涙などの症状が引き起こされます 。また、4〜8時間後には好酸球などの炎症細胞が浸潤し、慢性的な炎症反応が持続する後期相へと移行します 。
鼻と眼の症状は密接に関連しており、鼻涙管を通じたアレルゲンの移動や、鼻粘膜の刺激が副交感神経を介して結膜に反応を引き起こす「鼻眼反射」により、鼻の症状が悪化すると眼の症状も悪化しやすい関係にあります 。
眼瞼クリームの作用機序
眼瞼クリームの有効成分であるエピナスチン塩酸塩には、これらを抑えるための2つの作用機序が備わっています 。
- ヒスタミンH1受容体拮抗作用 すでに放出されたヒスタミンが、神経や血管の受容体(H1受容体)に結合するのを競合的に阻害します 。これにより、かゆみや充血といった症状を抑制する働きが期待できます 。
- マスト細胞安定化作用(メディエーター遊離抑制) アレルギー反応の元となるマスト細胞の細胞膜の遅延型塩化物チャネルを変化させることで、ヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどのケミカルメディエーターが新たに放出されるのを抑制します 。
これらの二重のメカニズムに加え、抗ロイコトリエン作用や抗PAF(血小板活性化因子)作用といった多角的な抗アレルギー作用も有しています 。
臨床試験における有効性と長期投与時の安全性データ
眼瞼クリームの有効性や安全性は、実施された臨床試験(第III相試験)によって確認されています 。
症状スコアの改善
結膜抗原誘発試験において、眼そう痒感(かゆみ)スコアおよび結膜充血スコアの両項目で、プラセボ群と比較して有意な改善と統計的優越性が確認されています 。
副作用の発生状況
主な副作用としては、眼瞼そう痒症(まぶたのかゆみ)、眼瞼紅斑(まぶたの赤み)が挙げられています 。使用中に目の赤み等の異常を感じた際は、医師へご相談ください。
従来の目薬(点眼薬)との違い
従来の点眼薬を用いた治療法と眼瞼クリームには、いくつかの違いが存在します。
- 使用回数と持続性 従来の点眼薬は1日に複数回の使用が一般的ですが、眼瞼クリームは1日1回の塗布で済みます 。皮膚からの徐放性吸収により、長時間の作用が見込まれます 。
- 点眼が苦手な患者への対応 小児や高齢者など、目薬をさすことが困難な患者の方でも、まぶたに塗る形状であるため使用が可能です 。
- コンタクトレンズやメイクとの相性 コンタクトレンズを装着したまま点眼できない目薬が多い中、眼瞼クリームは目の周りに塗布する薬であるため、レンズを外さずにケアが可能です 。朝の洗顔後やメイク前など、日常生活のルーティンに組み込んで使用することが可能です 。
- 全身への影響への配慮 アレルギー症状を抑える内服薬では、眠気などの全身性の副作用が懸念される場合があります 。眼瞼クリームは局所的に作用するため、全身への副作用が少ないとされています 。
使用における注意点
実際の治療現場では、眼瞼クリームによる治療を経験した人から以下のような傾向が報告される事例があります。※効果には個人差があり、下記はあくまで一例です 。全体的なセンチメント分析では、約75%がポジティブな意見、約20%がネガティブな意見というデータも存在します 。
症状の軽減や利便性を実感するケース
- 「夜に塗布し、翌朝の目のかゆみや腫れが軽減された」という報告があります 。
- 「毎年ステロイド軟膏が必要だった目の周りの炎症が、眼瞼クリームで抑えられている」といったケースも存在します 。
- 「乳液のような感じで、そこまでベタつきはなくのびが良い」といった使用感に関する意見も見受けられます 。
知っておきたい注意点
一方で、使用にあたっては以下の点に留意することが推奨されます。
- 効果の発現時期について(即効性)
成分が皮膚から浸透し組織内に蓄積するまでに時間を要します 。急激に効くのではなく、じわじわと結膜に到達し、長時間持続的な効果を発揮します 。臨床データにおいては、使用開始後3日目以降に最大効果が現れることが示されており、1回塗って劇的に変わる薬ではないため、継続的な使用が求められます 。 - 価格について
新しい医薬品でありジェネリック医薬品が存在しないため、従来の点眼薬と比較して患者負担額が上がる傾向にあることが指摘されています 。
眼瞼クリームを使用する際の注意点
効果を適切に発揮させ、眼や皮膚のトラブルを防ぐために、正しい使い方を守ることが求められます。
- 洗顔・入浴との間隔 塗布直後に洗顔や入浴を行うと、成分が洗い流される可能性があります 。塗布直後は洗顔等をお控えください 。朝または夜の決まった時間に塗布することが推奨されます 。
- 点眼薬との併用 必要に応じて、従来の点眼薬と併用することも可能です 。
- 市販のアイクリームとの違い ドラッグストア等で販売されている市販のアイクリームは、保湿などを目的としたスキンケア製品です 。アレルギー性結膜炎の治療を目的とした眼瞼クリームは医療用医薬品であり、市販では購入できず、処方には医師の診察が必要です 。
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眼瞼クリーム(アレジオン眼瞼クリーム0.5%)は、医療機関でのみ処方が可能な医薬品です 。
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