脂質異常症の診断基準とは?境界域の意味と対処法を徹底解説

2025年11月09日

健康診断で「脂質異常症」と言われた方へ

脂質異常症の診断基準とは?

健康診断の結果に「LDLコレステロールが高い」「脂質異常症の疑い」と書かれていて、驚いた経験はありませんか?
多くの方は自覚症状がなく、健診で初めて指摘されます。実際に脂質異常症と診断された人の9割以上が、無症状のまま発見されています。つまり、症状がないから大丈夫と思っていても、すでに進行していることが多いのです。

脂質異常症は放置すると動脈硬化を進め、将来的に心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患につながることがあります。この記事では、日本動脈硬化学会の最新ガイドライン(2022–2023年版)に基づいて、脂質異常症の診断基準や境界域の意味、対処法をわかりやすく解説します。

1. 脂質異常症とは?なぜ問題なのか

脂質異常症とは?

脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)のバランスが崩れている状態です。かつては「高脂血症」と呼ばれていましたが、脂質が高いだけでなく、HDLコレステロールが低すぎる場合も問題であることから現在の名称になりました。

脂質異常症の怖さは「自覚症状がほとんどない」ことです。血液中の脂質が多い状態が長く続くと、血管の内側にコレステロールが沈着して動脈硬化が進行します。これが心筋梗塞や脳梗塞などの生活習慣病の根本原因となります。

🔍 ポイント:脂質異常症は“サイレントキラー”とも呼ばれる静かな病気。気づかないうちに血管が硬くなっていくことがあります。

2. 脂質異常症の診断基準

一項目でも基準を超ええると脂質異常症

脂質異常症の診断は、血液検査(空腹時採血)によって4つの主要な指標を測定し、次の基準値に基づいて判定します。(日本動脈硬化学会2022–2023年版)

検査項目正常値境界域異常値(脂質異常症の診断基準)
LDLコレステロール(悪玉)<120mg/dL120–139mg/dL140mg/dL以上
HDLコレステロール(善玉)≥40mg/dL40mg/dL未満
中性脂肪(TG)<150mg/dL150mg/dL以上
non-HDLコレステロール*<150mg/dL150–169mg/dL170mg/dL以上

*non-HDLコレステロールとは、「総コレステロール−HDLコレステロール」で求められる値で、LDL以外の“悪玉”コレステロールを含む総合的な指標です。

✅ 基準値を1項目でも超えると、脂質異常症と診断されます。

3. 診断はなぜ「空腹時採血」で行うの?

空腹時の採血が基本

脂質異常症の診断は、12時間以上の絶食後(空腹時採血)で行うのが原則です。中性脂肪(トリグリセリド:TG)は食事による影響を大きく受けるため、食後採血では正確な数値が得られません。

ただし最近では、食後採血でも「non-HDLコレステロール」を用いることでおおよそのリスク評価が可能です。忙しくて空腹時採血が難しい場合は、医師に相談しましょう。

4. 「境界域」とは?放置してはいけない理由

境界域は生活習慣改善が有効

健康診断で「LDLコレステロールが130mg/dL」「境界域」と言われた場合、多くの人は「まだ大丈夫」と思いがちです。「境界域」とは、脂質異常症と診断されるほどではないものの、基準値よりは高い状態を指します。境界域は“異常ではないが、正常でもない”状態。つまり体の赤信号の一歩手前で、動脈硬化のリスクが上昇し始めるサインです。

境界域の段階で生活改善を始めた人は、将来の心疾患リスクを大幅に減らせることがわかっています。逆に放置すると、次の健診で脂質異常症に悪化しているケースも少なくありません。

🩺 医療現場では「境界域=要注意・注意信号」と考えられています。

5. 診断基準のよくある疑問Q&A

現在の診断基準は一律ですが、治療方針では年齢・性別が考慮されます。特に女性は閉経後に女性ホルモンが減少し、コレステロール値が上がりやすくなります。
はい。LDLコレステロールが180mg/dL以上の場合、「家族性高コレステロール血症」の可能性があります。遺伝的体質によるもので、早期の治療が必要です。
基準値そのものは同じですが、医師のリスク評価(年齢、合併症、家族歴)によって“治療を始めるタイミング”が異なる場合があります。
自覚症状がないからこそ厄介です。症状が出る頃には動脈硬化がかなり進行しています。早期発見・早期介入が重要です。

6. 診断後にやるべき2つのステップ

生活習慣の見直し

まずは生活習慣を改善しましょう。薬よりも食事・運動・睡眠の影響が大きいことが多いです。

  • 食事:脂っこい肉や揚げ物を減らし、魚・野菜・豆類を増やす。
  • 運動:週3回以上、30分程度のウォーキングや自転車通勤などの有酸素運動。
  • 禁煙・節酒:タバコはHDLを下げ、アルコールの摂りすぎはTGを上げます。

📊 成功例:「自転車通勤を2ヶ月続けてLDL229→143まで下がった」など、生活改善での効果も多く報告されています。*ただし個人差がありますので、効果は人によって変わります。

専門医への相談

「病院に行くべきか迷う」という声も多いですが、以下のような場合は必ず受診を。

  • LDLが180mg/dL以上
  • 糖尿病・高血圧など他の生活習慣病がある
  • 境界域でも家族に脂質異常症がある

監修医師

2025年04月04日
健康診断で脂質検査に異常値がでた時の原因と対処法まとめ

健康診断の脂質検査で異常値を指摘された方へ。なぜ数値が悪かったのか?慌てずに原因と対処法を確認しましょう。考えられる原因、放置リスク、再検査や食事・運動など生活習慣改善のポイントをわかりやすくまとめました。

2025年07月30日
健康診断で「コレステロール異常」と指摘されたら?放置せず早めの対処を!

健康診断でLDL・HDL・中性脂肪に異常が出た方へ。放置リスクや治療の始め方、生活改善のポイント、オンライン診療での対応方法まで詳しく解説します。無症状でも早期対処が大切です。

2025年04月04日
脂質異常症(高脂血症)の症状|自覚症状は?原因や改善方法を解説【医師監修】

脂質異常症は自覚症状がほとんどない病気です。放置すると動脈硬化などを引き起こすリスクがあります。この記事では、脂質異常症の症状・原因・検査・改善方法(食事療法・運動療法など)を医師監修のもと、わかりやすく解説します。

QRコード

休診日:なし

診療は18〜22時

まずは、
公式LINEを友だち追加

ヤックルはLINEからご利用いただけます。
友だち追加すると、いつでもスマホから診療をスタートできます。

ヤックルを友だち追加する

QRコードか左のボタンから
友だち追加してご利用ください。

QRコードか左のボタンから友だち追加してご利用ください。
QRコードか左のボタンから友だち追加してご利用ください。