特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の違いを解説

2025年04月29日

糖尿病で定期通院、ある日明細書の項目が変わった?

病気を治療するには、医療費がかかってしまいますよね。
治療費にはどんな費用が含まれているか確認していますか?

例えば、糖尿病、高血圧、脂質異常症の治療をしているみなさん!
2024年6月から糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の治療にかかる管理料が大きく変わりました。

以前までは『特定疾患療養管理料』と書かれていた明細書が『生活習慣病管理料』に変わり、診療費の負担額が大きく変わった方もいるかもしれません。

この2つの算定項目は何が違うのか一緒に確認してみましょう!

  特定疾患療養管理料とは? 

特定疾患療養管理料とは厚生労働省が定める対象疾患を主病とする患者に対して治療計画に基づき療養上必要な管理を行った場合に算定されます。

生活習慣病の糖尿病・脂質異常症・高血圧症もかつてはこの特定疾患療養管理料の対象でしたが、2024年度の診療報酬改定により対象外となりました。

現在、糖尿病・脂質異常症・高血圧症で治療をしている人はぜひ明細書を確認してみてくださいね!

対象となる病気

以前は高血圧、糖尿病、脂質異常症なども含まれていましたが、現在は対象外です。現在は、悪性新生物(がん)、関節リウマチ、パーキンソン病関連疾患、脊髄小脳変性症、シェーグレン症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病などが対象です。

「あれ?高コレステロールで治療をしているけど、『特定疾患療養管理料』が算定されているかも?」

と気が付いた方はいませんか?家族性高コレステロール血症などの遺伝子疾患は生活習慣病管理料ではなく、特定疾患療養管理料の対象となります!

どんなことをしてくれるの?

医師による診察、検査結果の説明、生活指導、服薬指導など、患者さんの病状に合わせた継続的な管理を行います。

費用はどれくらい?

施設規模特定疾患療養管理料
診療所225点
許可病床数が100床未満の病院147点
許可病床数が100床以上200床未満の病院87点
許可病床数が200床以上の病院算定できない
情報通信機器を用いた場合
 (オンライン診療)
76~196点

*情報通信機器を用いた診療とは、テレビ電話などの情報通信機器を用いたオンライン診療や遠隔診療を指します。

費用は疾患の種類や医療機関によって異なります。

▶診療所の場合

(76~225点×10円)/(負担割合1~3割)=約76~約675円

  生活習慣病管理料とは? 

特定疾患療養管理料の対象から「糖尿病、高血圧症、脂質異常症」が外れたことで、生活習慣病管理料を算定する病院が増えました。

実は生活習慣病管理料は、2024年に新設されたものではなく以前からある管理料です。

2024年6月の診療報酬改定で、検査などを包括する生活習慣病管理料(I)と包括しない生活習慣病管理料(II)の2種類になりました。

総合的な治療管理のために、検査や指導といった内容が含まれており、患者さんがより健康的な生活を送れるようにサポートすることを目的としています。

対象となる病気

糖尿病、高血圧症、脂質異常症の患者さんが対象です。ただし、糖尿病が主病で在宅自己注射指導管理料を算定している場合は、生活習慣病管理料は算定できません。

どんなことをしてくれるの?

生活習慣病の治療計画を作成し、栄養指導や運動療法、服薬指導など、患者さんの生活習慣改善に向けた総合的なサポートを行います。医師だけでなく、看護師、薬剤師、管理栄養士など多職種が連携して治療にあたります。

生活習慣病管理料(I)と(II)の違い

生活習慣病管理料(I)には、検査、注射、病理診断などの費用が含まれていますが、(II)には含まれていません。(I)を算定した月から6ヶ月以内は(II)を算定できません。

費用はどれくらい?

区分生活習慣病管理料
生活習慣病管理料(I)(脂質異常症)610点
生活習慣病管理料(I)(高血圧症)660点
生活習慣病管理料(I)(糖尿病)760点
生活習慣病管理料(II)333点
生活習慣病管理料(II)
情報通信機器を用いた場合
(オンライン診療)
290点

費用は疾患の種類や医療機関によって異なります。

▶診療所の場合

(290~760点×10円)/(負担割合1~3割)=約290~約2,280円

 特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料、何が違うの?

特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の違いを、対象となる病気、管理内容、費用の3つの観点から見ていきましょう。 

項目特定疾患療養管理料生活習慣病管理料
対象となる病気悪性新生物(がん)
肝硬変
その他厚生労働大臣が定める疾患など
糖尿病
高血圧症
脂質異常症
管理内容病状の観察
食事指導
その他療養上の指導
総合的な生活習慣指導(栄養指導、運動指導、服薬指導など)検査、注射、病理診断(生活習慣病管理料(I)の場合)
費用約76点~約225点生活習慣病管理料(I): 約610点~約760点
生活習慣病管理料(II): 約290~約333点

どちらも同時に算定されることはあるの?

特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料は、どちらも同時に算定されることはありません。

それぞれ異なる疾患を対象にしています。

特定疾患療養管理料糖尿病、高血圧、脂質異常症以外の特定疾患が対象*家族性高コレステロール血症は特定疾患療養管理料に含まれます
生活習慣病管理料糖尿病、高血圧、脂質異常症の疾患が対象

自分の診療明細書を見てみよう!

2024年度の診療報酬改定から、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の治療では『特定疾患療養管理料』は算定されなくなり、『生活習慣病管理料』が算定されるようになりました。

治療のために医療機関を受診すると、医療費の明細書を受け取りますよね。その明細書には、皆さんが受けている治療内容に応じた費用が記載されています。生活習慣病で通院している方は、『特定疾患療養管理料』または『生活習慣病管理料』という項目が記載されているか確認してみましょう。

医療費の明細書をしっかり確認して、内容を理解することは、治療をスムーズに進めるためにも大切です。不明な点があれば、遠慮なく医療機関のスタッフに質問しましょう。

2025年01月03日
医療費控除で賢く節税!オンライン診療も対象

【2025年最新】オンライン診療の治療費などの医療費も医療費控除の対象です。医療費控除の仕組みや計算方法など詳しく解説。医療費の負担軽減にお役立てください。

2025年06月19日NEW
ジェネリックにしないと”特別の料金”!長期収載品の選定療養って?

2024年10月から、ジェネリック医薬品がある長期収載品を選ぶと「特別の料金」が発生する制度が開始。先発医薬品と後発医薬品の違いや、選定療養の仕組み・注意点を分かりやすく解説します。

2025年04月08日
オンライン診療とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

最近よく聞くオンライン診療ってどんなもの?メリット・デメリットを知りたい方へ。利用の流れ、費用、どんな症状や場合に適しているか、対面診療との違いや注意点など、基本的な情報をわかりやすく解説します。

QRコード

休診日:なし

診療は18〜22時