
「なんとなく頭が重い」「最近よくめまいがする」──もしかすると、それは高血圧のサインかもしれません。
高血圧は、動脈硬化を進行させることで、脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる病気を引き起こす危険因子です。しかし、「サイレントキラー」と呼ばれるほど自覚症状がない場合が多く、気付かないうちに重症化してしまうことも。
具体的な症状を知っておくことで、早期発見・早期治療に繋がり、健康な生活を維持できる可能性が高まります。
この記事では、見逃しがちな初期症状から重症化サイン、対処法までを分かりやすく解説します。
高血圧は気づきにくい病気|放置が招くリスクとは?
高血圧は日本の国民病
高血圧は、現在の日本では約4300万人の患者がいるとされ、国民病とも呼ばれています。1990年代には2000万人未満だった患者数は、基準値の変更により大幅に増加しました。
高血圧の基準値は、現在では140/90mmHg以上とされています。しかし、特定健診・特定保健指導の基準値では130/80mmHg以上の場合「高値血圧」とされ、生活習慣の改善指導の対象となります。
将来的に高血圧へと進行するリスクが高い状態と言えるでしょう。つまり、今は症状が出ていなくても、“予備軍”として早期に対策を始めることが大切です。
高血圧の主な原因とは?
高血圧は遺伝的な体質に加え、生活習慣の積み重ねによって発症しやすくなります。特に次のような要因が重なることで、血圧が慢性的に高くなりやすいとされています。
- 塩分の多い食生活(味の濃い食事、外食中心など)
- 運動不足(血流が悪くなりやすい)
- 過度の飲酒・喫煙
- 肥満(内臓脂肪が多いほどリスク増)
- 慢性的なストレス(交感神経が活性化)
- 加齢(加齢により血管が硬くなる)
また、親や兄弟に高血圧の人がいる場合は、体質的に発症しやすい傾向があります。「自分は健康」と思っていても、これらのリスク要因が当てはまる人は、定期的な血圧チェックが大切です。
初期症状を見逃さないで!
高血圧の初期症状は様々で、めまいや頭痛、肩こり、動悸、息切れ、耳鳴りのほか、倦怠感、食欲不振、睡眠障害など、他の病気と間違えやすい症状が出ることもあります。
これらの症状は一時的なものとして見過ごされがちですが、血圧の上昇により血管に負担がかかり、ある日突然、命に関わる病気を引き起こすことがあります。
特に動脈硬化や心血管系の合併症のリスクが高まるため、日頃から自分の体調に気を配り、少しでも気になる症状があれば、ためらわず医療機関へ相談することが重要です。
以下のチェックリストを活用し、高血圧の危険性を認識しましょう。
高血圧の症状チェックリスト|初期サインと重症化の見分け方

よくある症状
高血圧は自覚症状がない場合が多いですが、合併症のリスクが高まっている時は症状が現れやすくなります。高血圧に伴う症状としては、以下のものがあります。
症状 | 原因 |
---|---|
めまい | 脳への血流が不安定になることで発生する可能性があります。 |
頭痛 | 一般的な高血圧では頭痛はあまり見られませんが、急激な高血圧(高血圧性脳症)の場合、激しい頭痛が起こることがあります。 |
肩こり | 血管の収縮や末梢の血流の低下により、筋肉が緊張し肩こりが引き起こされることがあります。 |
動悸 | 高血圧が続くと血管に過剰な負担がかかり、動悸や血行不良を感じやすくなります。 |
息切れ | 心臓への負担増加により、息切れが生じることがあります。 |
耳鳴り | 内耳への血流が不安定になることで、耳鳴りが発生する可能性があります。 |
これらの症状は、高血圧以外にも様々な原因で起こり得るため、これらの症状があるからといって必ずしも高血圧であるとは限りません。しかし、複数の症状が同時に現れたり、症状が続く場合は、高血圧の可能性も考慮し、医療機関を受診することが大切です。
見逃しやすい初期症状
高血圧の初期症状は自覚しにくいものが多く、見逃してしまうケースが少なくありません。高血圧の初期症状として代表的な症状には、倦怠感、食欲不振、睡眠障害などがあります。
症状 | 特徴 |
---|---|
倦怠感 | 体がだるく、疲れやすい |
食欲不振 | 食欲がなく、食事の量が減る |
睡眠障害 | 寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚める |
「なんとなくだるい」「最近よく眠れない」など、他の病気や体調不良と区別しにくく放置してしまいがちですが、放置すると動脈硬化が進行し、血管が硬くなることで、脳卒中や心筋梗塞などの重大な疾患を引き起こす危険性が高まります。
重症化を示唆するサイン
高血圧の重症化を示唆するサインには、以下のようなものがあります。これらの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
症状 | 説明 |
---|---|
激しい頭痛 | 普段経験したことのないような激しい頭痛は、くも膜下出血のサインである可能性があります。 |
吐き気・嘔吐 | 吐き気や嘔吐を繰り返す場合、高血圧が原因である可能性があります。脳卒中の前兆としても現れることがあります。 |
意識障害 | 意識がもうろうとしたり、呼びかけに反応が鈍くなったりする場合は、脳卒中の可能性があります。 |
手足のしびれ | 特に片側の手足にしびれが出る場合は、脳卒中の前兆である可能性があります。 |
ろれつが回らない | 言葉が出てこない、ろれつが回らないなどの症状は、脳卒中のサインである可能性があります。 |
高血圧になりやすい人の特徴
ここまでに挙げたような症状がない方でも、以下に当てはまる場合は、高血圧予備軍の可能性があります。
- 家族に高血圧の人がいる
- 最近、運動不足が続いている
- 外食やインスタント食品が多い
- ストレスを感じやすい
- 肥満気味、BMIが25以上
- 健康診断で「血圧が高め」と言われたことがある
1つでも当てはまる場合は、生活習慣の見直しや血圧チェックを意識しましょう。
高血圧の症状がある方へ|治療・予防の基本知識

生活習慣の改善で血圧コントロールを
高血圧は、代表的な生活習慣病のひとつです。改善するためには、薬だけに頼るのではなく、生活習慣を見直すことがとても大切です。無理をせず、できることから少しずつ始めていきましょう。
特に意識したい5つのポイントはこちらです。
(1) 減塩を意識する
塩分の摂りすぎは、体内の水分バランスを崩し、血管にかかる圧力を高めることで血圧を上昇させます。1日の塩分摂取量の目標は6g未満。外食や加工食品に多く含まれるため、成分表示をチェックする習慣をつけましょう。
食品 | 塩分量(g) |
---|---|
カップ麺 | 約6 |
コンビニおにぎり | 約1 |
食パン6枚切り1枚 | 約0.5 |
(2) バランスの良い食事を心がける
カリウムには、体内の余分な塩分を排出する働きがあります。野菜・果物・海藻類などを意識的に摂るようにしましょう。
(3) 適度な運動を取り入れる
運動不足は血行を悪くし、高血圧のリスクを高めます。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動、スクワットなどの筋トレが効果的です。週に3~5回、30分以上を目安に行いましょう。
(4) 禁煙する
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上昇させます。禁煙は高血圧改善に効果的です。
(5) 飲酒を控える
お酒の飲みすぎも血圧に悪影響を与えます。適量は、1日あたり純アルコール20g程度(日本酒1合、ビール中瓶1本程度)を目安にしましょう。
薬による治療|主な種類と働き
高血圧の治療では、状態に応じて複数の薬が使い分けられます。それぞれの薬には異なる作用があり、医師が体調や他の疾患の有無を見ながら選びます。
薬剤の種類 | 作用機序 |
---|---|
カルシウム拮抗薬 | 血管を広げ、血液の流れをスムーズにすることで血圧を下げます。 |
アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB) | 血管を収縮させるアンギオテンシンIIの作用を抑制し、血圧を下げます。 |
アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬) | アンギオテンシンIIの生成を抑制し、血管収縮を抑えることで血圧を下げます。 |
利尿薬 | 体内の水分を排出し、血液量を減らすことで血圧を下げます。 |
β遮断薬 | 心臓の拍動数を抑え、心臓の負担を軽減することで血圧を下げます。 |
α遮断薬 | 血管を収縮させる交感神経の働きを抑制し、血圧を下げます。 |
※オンライン診療で初診で処方するのは、上の4剤が基本となります。
薬の効果や副作用には個人差があります。自己判断で薬をやめたり、量を変えたりせず、必ず医師の指示を守ることが大切です。
定期的な検診で早期発見を
高血圧は、症状がないまま進行してしまうこともあります。そのため、定期的な健康チェックがとても重要です。
以下のような重大な病気を防ぐためにも、早めの対応を心がけましょう。
合併症 | 具体的な症状 |
---|---|
脳卒中 | 意識障害、言葉が出ない、半身麻痺など |
心筋梗塞 | 胸の痛み、呼吸が苦しい、意識がなくなる |
腎不全 | むくみ、疲れやすい、食欲がない |
最低でも年に1回の健康診断で、血圧測定・血液検査・尿検査をセットで受けましょう。高血圧の危険因子(肥満、喫煙、過度の飲酒、ストレスなど)に該当する方は、より頻度の高い検診が必要です。
また、家庭用血圧計で定期的な血圧測定と記録を行い、自身の血圧の状態を把握しておくのもおすすめです。
家庭用血圧計の正しい使い方
家庭用血圧計を使って正確に測定するためには、以下のポイントを守ることが大切です。
- 測定前は5分以上安静にする
- 腕を心臓と同じ高さに保つ
- 毎日、朝・夜の同じ時間に測定
- 座った姿勢で、深呼吸してから測定
朝は起床後1時間以内、夜は就寝前が理想です。測定結果はノートやアプリに記録し、受診時に医師へ見せると診断の参考になります。
高血圧は、高血圧は、生活習慣の改善と医師のサポートでしっかり管理できる病気です。早めの対応と正しい知識で、自分の健康をしっかり守っていきましょう。
高血圧の症状に関するよくある質問(FAQ)
高血圧を早期発見・早期治療するためには、正しい知識を身につけておくことが大切です。ここでは、高血圧の症状に関するよくある質問とそれらに対する回答をまとめました。
Q1. 症状がなくても高血圧になることはありますか?
A1. はい。高血圧は自覚症状がないまま進行することが多く、「サイレントキラー」とも呼ばれています。そのため、定期的な血圧測定が重要です。具体的には以下の方法で早期発見に努めましょう。
- 健康診断: 年1回の健康診断での血圧測定は必須です。
- 家庭血圧計: 家庭用血圧計を用いた毎日の血圧測定も、高血圧の早期発見・管理に役立ちます。朝晩2回、毎日同じ時間に測定するのが理想的です。
- 24時間自由行動下血圧測定(ABPM): 家庭血圧計では捉えきれない日中の血圧変動や、夜間高血圧の有無を調べることができます。
Q2.朝、頭痛やめまいがするのですが、高血圧の可能性はありますか?
A2. はい、可能性はあります。高血圧は朝方に血圧が上がりやすい傾向があり、「早朝高血圧」と呼ばれます。めまいや頭痛以外にも、吐き気や倦怠感などの症状が現れることもあります。ただし、これらの症状は他の病気でも起こり得るため、自己判断せずに医療機関を受診して相談しましょう。
高血圧の種類 | 特徴 | 症状 |
---|---|---|
仮面高血圧 | 病院では正常値だが、家庭では高血圧 | 自覚症状がないことが多い |
白衣高血圧 | 家庭では正常値だが、病院では高血圧 | 自覚症状がないことが多い |
早朝高血圧 | 朝方に血圧が上昇 | めまい、頭痛、吐き気など |
夜間高血圧 | 夜間に血圧が十分に下がらない | 無症状のことが多い |
Q3. ストレスは高血圧の原因になりますか?
A3. はい、ストレスは高血圧の原因の一つと考えられています。ストレスを感じると、交感神経が活性化し、血管が収縮して血圧が上昇します。慢性的なストレスは高血圧のリスクを高めるため注意が必要です。ストレスを適切に管理し、健康的な生活習慣を維持することが高血圧予防に重要です。
Q4. 若くても高血圧になることはありますか?
A4. はい、若くても高血圧になることはあります。以前は高血圧は中高年の病気と考えられていましたが、近年では若い世代でも高血圧と診断されるケースが増えています。食生活の変化、運動不足、ストレス、睡眠不足など、生活習慣の乱れが主な原因と考えられます。
まとめ:高血圧を理解し、健康な生活を送るために
高血圧は、自覚症状がほとんどないまま進行することが多い病気です。しかし、気づかずに放置してしまうと、脳や心臓、腎臓などに深刻な影響を及ぼす可能性があります。だからこそ、毎日の生活習慣の見直しと、定期的な血圧チェックがとても大切です。
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高血圧の症状に少しでも不安を感じたら、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか?
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