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「日本の国民病」とも言われている高血圧症は、人口の約3分の1である約4,300万人(※)もの患者数がいると発表されています。日本人の3人に1人は高血圧症と言えるほど身近が病気ですが、なぜそこまで多くの人が発症してしまうのでしょうか。
病院へ通院している方だけでなく、健康診断でも測定することの多い血圧は、痛みや刺激・緊張などで一過性に上昇するケースがあります。そのため、一回の測定では高血圧症とは判断されません。
数日・数回の測定で正常血圧の基準値を超えた場合に高血圧症と診断されますが、高血圧が続く原因はどんな要素が挙げられるのでしょうか。本記事で高血圧の原因と、高血圧にならないための対策を詳しく解説します。
※参考:高血圧治療ガイドライン2019
そもそも高血圧とは?
高血圧とは、酸素や栄養素を全身に運ぶ血液が心臓から送り出されたとき、血管の壁にかかる圧(=血圧)が強い状態を言います。冒頭で述べたように、継続して高血圧の状態が続くと「高血圧症」と診断されます。
血圧には、心臓が収縮して血液を送り出すときの収縮期血圧と心臓が拡張したときの拡張期血圧で表されます。「血圧の上と下」とよく耳にしますが、収縮期血圧が血圧の上または最高血圧とも呼ばれており、拡張期血圧は血圧の下または最低血圧とも呼ばれています。
高血圧の基準は、医療機関で測定する診察室血圧と自宅で測定する家庭血圧によって異なります。
診察室で測った血圧は140/90㎜Hg以上が基準ですが、1日の測定だけでなく複数回の測定で基準値を超える状態が継続した場合に高血圧と診断されます。
自宅で測った血圧は135/85㎜Hg以上が基準ですが、5〜7日間またはそれ以上の期間測定を継続し、平均値が基準値を超えた場合に高血圧と診断されます。
高血圧は初期症状がほぼなく、気付かないうちに進行してしまう人も少なくありません。重症化すると、頭痛やめまい・肩こり・疲労感などの体調不調が出る方もいますし、脳卒中や心疾患などの大きな病気を引き起こすリスクも高くなるため、別名「サイレントキラー」とも呼ばれています。
高血圧になる原因
そもそも、なぜ高血圧になってしまうのでしょうか。高血圧を対策するために、まずは原因をしっかりと理解しておきましょう。
血圧は、本態性高血圧と二次性高血圧の2種類があり、それぞれが発症する原因も異なります。
本態性高血圧の原因は主に生活習慣
本態性高血圧は生活習慣病に起因しますが、細かい原因までは特定できない高血圧です。
生活の中には、血圧を上げてしまう要因が溢れています。よく知られているのは、塩分の摂りすぎや肥満ですが、実は睡眠不足やストレスなども高血圧を誘発してしまいます。本態性高血圧の場合、高血圧になってしまった原因がひとつとは限らないため、原因と特定できないのです。
生活習慣の中で高血圧になる原因は以下が挙げられます。
- 塩分の過剰摂取
- 運動不足や肥満
- アルコール過剰摂取
- 睡眠不足やストレス
- 外気温の差(例:入浴でいきなり熱いお湯に浸かったとき・暖かい室内から寒い外に出たとき)
生活習慣ではありませんが、加齢も高血圧になる原因のひとつに挙げられます。高齢になると、血管自体に柔軟性がなくなり血流が悪くなる傾向があるため、血管壁にかかる圧力も高くなってしまうためです。
また、遺伝子的要因も高血圧に関係すると言われています。家族に高血圧の人がいれば、より本態性高血圧になるリスクが高くなる傾向があります。
二次性高血圧は原因疾患がある
本態性高血圧のほかに、二次性高血圧があります。二次性高血圧は、高血圧となる原因の疾患が別にあり、高血圧の症状である頭痛やめまい・肩こり・疲労感などの体調不調に加え、原因となる疾患の症状も現れます。原因疾患を治療し完治させることで。原因疾患の症状だけでなく高血圧の症状も改善していくのが特徴です。
「高血圧治療ガイドライン」で示されている、二次性高血圧の原因疾患と示唆される所見は以下の通りです。
主な原因疾患 | 示唆する所見 |
睡眠時無呼吸症候群 | いびき・昼間の眠気・肥満 |
原発性アルドステロン症 | 四肢脱力・夜間多尿・低K血症 |
腎血管性高血圧 | 急な血圧上昇・腹部血管雑音・低K血症・夜間多尿 |
腎実質性高血圧 | 蛋白尿・血尿・腎機能低下・腎疾患の既往 |
クッシング症候群 | 中心性肥満・満月様顔貌・皮膚線条・高血糖 |
褐色細胞腫 | 発作性高血圧・動揺性高血圧・動悸・頭痛・発汗・神経線維腫 |
先端肥大症 | 四肢先端の肥大・特有の顔貌 |
甲状腺機能低下症 | 徐脈・浮腫・活動性減少・脂質・CPK・LDH高値 |
甲状腺機能亢進症 | 頻脈・発汗・体重減少・コレステロール低値 |
副甲状腺機能亢進症 | 高Ca血症・夜間多尿・口渇感 |
大動脈縮窄症 | 血圧上下肢差・血管雑音 |
薬剤誘発性高血圧 | 薬物使用歴・治療抵抗性高血圧・低K血症 |
※参考:高血圧治療ガイドライン
高血圧にならないための対策
高血圧の原因が分かったところで、続いて対策方法を解説します。二次性高血圧は原因疾患が影響するため、本態性高血圧の改善をメインに解説していきます。
血圧を下げる方法
血圧を上げる原因が生活習慣に隠れているのであれば、血圧を下げる方法も生活習慣の中にあります。生活習慣の中で血圧を下げる方法は以下が挙げられます。
- 塩分を控える
- バランスのよい食事
- 適度な運動
日常から意識できることばかりなので、本記事を読んだこの日を機会に、生活習慣を見直してみましょう。
塩分を控える
「塩分を摂りすぎると高血圧になりやすい」のは有名で、聞いたことのある方も多いですよね。
高血圧治療ガイドライン2019では、塩分量の摂取目安を1日6g未満としています。これは調味料の塩分量も含んでいるため、1日3食で塩分6gはとても少ないように思えますよね。日本人の平均塩分摂取量は、1日約10gと言われており、1日6g未満は薄味に感じる方が多いはずです。
一気に塩分量を減らすと薄味に慣れず継続できない可能性があるので、まずは1日8g程度を目標に進めていくことをおすすめします。品数の少ない朝食や昼食は2~4g程度、品数の多くなる夕食は4~6g程度と調整するといいでしょう。
具体的には、普段使用する醤油を減塩醤油に替えたり、味付けにレモンやお酢を使ったりすると日々の塩分摂取量を徐々に減らしていけます。
血圧を下げる食べ物
塩分を控えるだけでなく、血圧を下げるため働きのある食べ物も意識的に摂取しましょう。摂取する栄養素によってそれぞれの働きがあり、高血圧の改善や血圧を正常に保つ働きなどがあります。
高血圧患者におすすめしている栄養素とその働き、そして栄養素が含まれる食べ物を紹介します。
栄養素 | 働き | 食べ物の例 |
ミネラル(カリウム・カルシウム・マグネシウム) | 塩分(ナトリウム)を排泄する | ほうれん草・ブロッコリー・みかん・バナナ・わかめ・昆布・豆腐・納豆 |
タウリン | 腎臓の働きを促進させて血圧を正常に保つ | イカ・タコ |
カテキン・GABA | 血圧を下げる | 緑茶・紅茶・ウーロン茶など |
ルチン(ポリフェノール) | 血管を丈夫にして血圧と血糖を下げる | そば・イチジク・カシューナッツ |
これらの食べ物は、極端にどれかだけを多く摂取して偏ってはいけません。バランスよく食べることで、高血圧の改善が見込めます。
高血圧は放置するととても危険
高血圧症はあまり初期症状がなく、気付きにくい病気だと述べました。しかし、高血圧を放置して継続的に血圧が高い状態が続くと、血管が傷つき硬くなるため「動脈硬化」を起こしてしまいます。
動脈硬化が進行すると、脳卒中や心臓病・腎臓病などの合併症を引き起こす原因となります。日常生活でも身近に感じることの多い高血圧は、重病や死亡リスクを高めるため正常な基準値を保つ必要があるのです。
高血圧の治療はまず医師に相談を
高血圧の原因や改善方法を解説しましたが、まずは医師に相談して自分が高血圧であるか、どの程度の治療が必要な状態かを知る必要があります。医師の判断に加え、日常的に高血圧を改善・予防するための生活習慣を送っていきましょう。
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