高血圧の原因は一つじゃない!生活習慣・疾患タイプをチェックしてあなたに合った対策を

2025年04月26日

健康診断で「血圧が高めですね」と言われたけれど、何を変えたらいいのかわからない…。

そんなふうに戸惑った経験はありませんか?血圧は数値としては見えても、原因や対処法は人によって異なるため、どう行動すればいいか分かりにくいのが現実です。

実は、高血圧の原因は一つではなく、「タイプによって対策が変わる」ことをご存じですか?塩分の摂りすぎやストレス、運動不足といった生活習慣の乱れだけでなく、ホルモン異常や腎臓の病気が隠れているケースもあります。

そこでこの記事では、高血圧の主な原因を「生活習慣・遺伝型(本態性高血圧)」と「疾患型(二次性高血圧)」の2タイプに分け、それぞれの特徴・セルフチェック・改善策まで、わかりやすく解説します。

自覚症状なしで進行する?|高血圧が怖い本当の理由

実は、日本人の約3人に1人が高血圧と言われており、高齢者に限らず、働き盛りの世代でも増加しています。「健康診断で血圧が高めと言われたけど、特に症状がないから大丈夫」と思っていませんか?

しかし、高血圧はそのままにしておくと、命に関わる深刻な病気の引き金になることもあるのです。

そもそも高血圧とは?

高血圧とは、安静時でも慢性的に血圧が高い状態のことを指します。血圧は、心臓が血液を送り出す際に血管へかかる圧力を表した数値です。

一般的に、以下の数値を超えた場合、高血圧と診断されます。

必ずしも自覚症状があるとは限らず、気づかないうちに高血圧になっている場合もあります。

血圧分類収縮期(mmHg)拡張期(mmHg)
至適血圧~120未満~80未満
正常血圧120~12980~84
正常高値血圧130~13985~89
Ⅰ度(軽症)高血圧140~15990~99
Ⅱ度(中等症)高血圧160~179100~109
Ⅲ度(重症)高血圧180以上110以上

高血圧の怖さは「沈黙」と「合併症」

高血圧は、それ自体が命に関わる病気ではありません。しかし、長く放置することで血管に負担がかかり続け、動脈硬化が進行します。

その結果、以下のような重大な合併症を引き起こすリスクが高まります。

高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がない場合も多いので、定期的な血圧測定と健康診断が重要です。早期発見、早期治療によって、重篤な合併症のリスクを減らすことができます。

高血圧の原因は2タイプ|生活習慣型と疾患型に分けて対策しよう

生活習慣・遺伝が影響する「本態性高血圧」

高血圧全体の約9割を占めるのが「本態性高血圧」です。これは、遺伝や生活習慣、加齢などが複雑に絡み合って起こる高血圧で、はっきりとした原因は特定されていません。

遺伝的要因は、両親が高血圧の場合、子供が発症するリスクが高まるなど、体質が影響します。高血圧になりやすい体質を受け継いでいる可能性がある方は、より一層、生活習慣の改善に気を配る必要があります。

生活習慣の乱れは、高血圧の大きな要因となります。具体的には下記のようなものが挙げられます。

要因具体例
食生活塩分の多い食事・外食中心・野菜不足
運動不足身体活動が少なく、代謝も低下しやすい
肥満特に内臓脂肪型肥満は高リスク
喫煙血管収縮作用による血圧上昇
過度の飲酒血管収縮作用、肥満につながる
ストレス自律神経の乱れから血圧が上がりやすい

さらに、加齢も高血圧のリスクを高める要因です。年齢を重ねるにつれて血管は硬くなり、弾力性を失っていきます。すると、血管が柔軟に拡張しにくくなるため、血圧が上昇しやすくなります。

【あなたは大丈夫?本態性高血圧のセルフチェック】

以下の項目に当てはまる方は、生活習慣型高血圧の予備軍かもしれません。

1つでも該当する場合は、生活習慣の見直しと血圧測定を意識しましょう。

特定の疾患が原因で起こる「二次性高血圧」

全体の約1割を占める二次性高血圧は、腎臓病やホルモン異常など、他の病気が原因で血圧が高くなるタイプです。原因となっている病気を治療することで血圧を下げることが期待できます。

代表的な二次性高血圧の原因となる病気を以下に示します。

病気説明
腎臓の病気(腎血管性・腎実質性など)腎臓の血管が狭くなったり、腎臓そのものに障害が起こると、血圧を上げるホルモンが分泌されたり、水分・塩分の排出がうまくいかなくなり、血圧が上がります。
ホルモン異常(原発性アルドステロン症、クッシング症候群など)副腎などの臓器から、血圧を上げるホルモンが過剰に分泌されて高血圧になります。
血管の異常(大動脈炎症候群など)大動脈炎症候群など、血管の炎症や異常によって血圧が上がることがあります。
睡眠時無呼吸症候群睡眠時に呼吸が止まると、体内の酸素が不足し、血管が収縮して血圧が上がります。
薬の副作用(風邪薬・鎮痛剤・ピルなど)一部の薬が、高血圧の副作用を引き起こすことがあります。
こんなときは二次性高血圧の可能性も

こうしたケースでは、原因となる病気が隠れている可能性があるため、早めに医療機関で検査を受けることが重要です。

まとめ

項目本態性高血圧二次性高血圧
主な原因生活習慣・遺伝・加齢特定の病気
症状の出方自覚症状が少なく、徐々に進行原因疾患によっては急激に悪化することも
対策生活習慣の改善が中心原因治療で改善の可能性あり
治療継続的な生活改善でコントロール可能適切な治療で改善・完治の可能性あり

高血圧タイプ別の対策|血圧を下げる生活習慣と治療法

本態性高血圧の対策:生活習慣の見直しがカギ

本態性高血圧は、生活習慣の改善によって血圧を下げ、状態を維持できれば服薬が不要になるケースもあります。以下、改善に向けた具体的な方法をまとめました。

(1) 減塩を意識する

塩分の摂りすぎは、体内に水分を溜め込み、血管内の血液量を増やすことで血圧を上げる原因になります。目標は1日6g未満。

(2) 栄養バランスの良い食事(DASH食など)

高血圧の改善に効果的な食事法として、DASH(ダッシュ)食が推奨されています。ポイントは以下の食品群をバランスよく取り入れることです。

(3) 有酸素運動の習慣化

運動不足は血行を悪くし、高血圧の原因になります。以下のような 有酸素運動を、無理のない範囲で習慣化しましょう。

(4) 体重管理

肥満は高血圧のリスクを高めます。適正体重を維持するために、バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。目標BMIは18.5~25です。

(5) 禁煙・節酒

喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させるため、禁煙は必須です。また、過度の飲酒も血圧を上昇させるため、節酒を心がけましょう。

(6) ストレスを上手にコントロール

ストレスは交感神経を刺激し、血圧を上げる要因となります。以下のような方法でリラックスできる時間を確保しましょう。

二次性高血圧の対策:まずは原因疾患の治療を

二次性高血圧は、原因となっている病気を治療することで、血圧を下げることができる可能性があります。生活習慣を見直すだけでは改善しにくいため、原疾患の早期発見と適切な治療が最優先となります。

主な疾患と治療方法の例
原因疾患治療法の例
腎血管性高血圧腎動脈の狭窄を広げるカテーテル治療
腎実質性高血圧原疾患である腎臓病の治療(食事療法、薬物療法、透析など)
原発性アルドステロン症薬物療法や手術
睡眠時無呼吸症候群(SAS)CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
薬剤誘発性高血圧原因薬剤の中止・変更
注意すべきサイン

このようなケースでは、自己判断せず、早めに医療機関を受診することが大切です。検査によって原因を特定し、専門的な治療を受けることで、血圧を効果的にコントロールできる可能性があります。

家庭血圧測定の重要性|“隠れ高血圧”を見逃さないために

高血圧は自覚症状がほとんどないことが多いため、日常的な家庭での血圧測定が非常に重要です。

家庭血圧測定のメリット

家庭での血圧測定には、以下のような多くの利点があります。

家庭血圧測定のメリット詳細
脳心血管疾患の予防継続的な測定で高血圧のリスクを早期に発見し、適切な対策をとることで、心筋梗塞や脳梗塞などの予防につながります。
正確なデータ取得病院での測定とは異なり、リラックスした状態で測定できるため、より正確な血圧値を把握できます。
健康管理の指標毎日の測定で血圧の変化を把握することで、自身の健康状態をより深く理解し、生活習慣改善のモチベーション維持に役立ちます。
医師との連携強化家庭血圧のデータは医師との共有が容易で、より適切な診断・治療に繋がります。

正しい血圧の測り方:精度を上げる5つのポイント

より正確な数値を測るためには、正しい測定方法を身につけましょう。具体的には、以下のポイントを守ることが重要です。

  1. 測定前に5分以上安静にする
  2. 腕は心臓と同じ高さに保つ
  3. 測定中は会話・動作を控える
  4. 朝・夜の決まった時間に測る(理想は起床後と就寝前)
  5. 同じ腕で測定を続ける

 

できれば1回の測定で2回測り、平均値を記録するのがおすすめです。

毎日の血圧記録のつけ方

家庭血圧の記録と管理は、高血圧の適切な管理のために非常に重要です。血圧の変化を把握することで、生活習慣改善の効果や治療の効果を客観的に評価できます。

血圧値は、手帳やノートにまとめておくか、専用のアプリなどを活用しましょう。グラフ化することで、血圧の推移を視覚的に捉えやすくなります。

以下の項目を意識して記録を続けましょう。

記録項目内容
日付測定日(例:2024/03/08)
時間測定時間(例:7:00)
最高血圧例:135mmHg
最低血圧例:85mmHg
脈拍例:70拍/分
体調や服薬状況などの特記事項例:起床直後、朝食前、薬服用後など

家庭血圧測定で得られた記録は、診察時に医師に提示しましょう。家庭血圧は診察室血圧よりも低くなる傾向があるため、家庭血圧の記録は、より日常に近い血圧の状態を示す「客観的な判断材料」になります。

高血圧の原因に関するよくある質問

Q1.血圧が高めと言われただけで、すぐに治療が必要ですか?

A1.血圧が高めと指摘された場合でも、すぐに薬が必要とは限りません。多くの場合、まずは生活習慣の見直し(減塩・運動・禁煙など)から始めることが推奨されます。ただし、合併症のリスクがある方や改善が見られない場合は、医師の判断で薬物治療が必要になることもあります。少しでも不安がある場合は、医師への相談をお勧めします。

Q2.高血圧はかならず遺伝しますか?

A2.いいえ、高血圧になりやすい体質は遺伝する可能性がありますが、生活習慣次第で十分に予防や改善が可能です。たとえ家族に高血圧の方がいても、塩分控えめの食事や適度な運動などを意識すれば、発症リスクを抑えることができます。

Q3.血圧を家で測ると高いけど病院では正常です…

A3.それは「仮面高血圧」や「白衣高血圧」の可能性があります。家庭での測定値が高く、病院では正常な場合は「仮面高血圧」、逆に病院でだけ高くなるのが「白衣高血圧」です。家庭血圧は日常の状態を反映するため、記録を医師に見せることがとても大切です。

Q4.夜だけ血圧が高いのは問題ですか?

A4.はい、「夜間高血圧」は見逃されやすい危険なタイプです。夜間に血圧が十分に下がらないと、心臓や腎臓への負担が大きくなります。また、脳卒中や心血管疾患の発症リスクにも関係するため注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群などが原因となっていることもあるため、気になる場合は医師に相談しましょう。

まとめ:自分のタイプを知って、できることからケアを始めよう

高血圧は「気づきにくく、放置しやすい」病気だからこそ、早めの対策が命を守る第一歩になります。生活習慣型・疾患型の原因を見極め、自分に合った方法で血圧をコントロールしていくことが、将来の合併症予防につながります。今日からできることを、少しずつ始めてみましょう。

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ヤックルの医師紹介

監修医師

楢橋 和真

楢橋 和真

経歴
2011年3月
獨協医科大学医学部医学科卒業
2011年4月
千葉県がんセンター 初期研修
資格

一般社団法人日本救急医学会 救急科専門医

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