痛風の初期症状とは?前兆サイン・発作の流れ・早期対処法を医師が解説

2025年10月15日

突然、足の親指の付け根にズキッと走る痛み——「まさかこれが痛風?」と思ったことはありませんか。痛風は、血液中の尿酸が結晶化して関節にたまり、炎症と激しい痛みを引き起こす病気です。多くの人が「初期症状」を見逃し、発作が起きてから受診しています。本記事では、痛風の前兆から初期症状、応急処置、再発予防までを医師監修メディア風にわかりやすく解説します。放置による合併症にも注意が必要です。早期発見と正しい対応で、痛風はコントロール可能な病気です。

痛風の初期症状

痛風とは?原因と発症メカニズム

痛風は、体内の尿酸値が高くなる「高尿酸血症」が続いた結果、尿酸が関節内で結晶化して炎症を起こす病気です。尿酸値が7.0mg/dLを超える状態が長期間続くと、結晶が針のような形で関節に沈着し、突然の激痛を伴う「痛風発作」を引き起こします。最も多い発症部位は足の親指の付け根(中足趾節関節)で、次いで足首や膝関節などにも起こります。
尿酸はプリン体という物質の代謝産物で、食事やアルコール摂取、肥満、ストレス、脱水などが尿酸値上昇の主な要因です。特にビールや内臓肉(レバー、白子など)プリン体を多く含む食品は注意が必要です。

痛風の初期症状と前兆サイン

前兆段階(発作の数時間~1日前)

痛風は「いきなり激痛が来る」イメージがありますが、実際には約20〜30%の人が発作の前に前兆を感じています。具体的には次のような症状がみられます。
・関節がムズムズ、ピリピリする
・軽い違和感や熱感を感じる
・関節を動かすと違和感がある
・足の親指の付け根がわずかに赤い
この段階で適切な対応をとることで、発作を軽減できる可能性があります。

初期症状(発作開始〜24時間以内)

発作は通常、夜間から明け方にかけて突然始まります。典型的な初期症状は以下の通りです。
・足の親指の付け根が赤く腫れ、ズキズキと痛む
・患部が熱を持ち、触れるだけでも激痛
・靴や布団が触れただけで痛い
・体温が上がる、微熱を伴うこともある
痛風発作のピークは発症後12〜24時間で、「風が当たっても痛い」と表現されるほどの激痛に達します。多くの場合、数日で自然に治まりますが、治ったように見えても尿酸値の異常は残っています。

捻挫や打撲と間違えるケース

痛風の初期症状は、捻挫や筋肉痛と似ているため、「足をくじいた」「疲れた」と自己判断してしまう人が多いです。しかし、痛風は時間とともに痛みが悪化し、関節の腫れ・赤みが明確になります。違和感が出た段階で医療機関を受診することで、激痛に至る前に治療できることがあります。

痛風の初期症状チェックリスト

痛風の初期症状セルフチェックリスト

次のうち、1つでも当てはまる場合は要注意です。
▢足の親指の付け根にズキズキする痛みがある
▢夜中や明け方に関節の痛みが強くなる
▢足を地面につけると電気が走るように痛む
▢前日に飲酒や肉・魚を多く摂取した
▢健康診断で尿酸値が高いと指摘された
これらのサインがある場合、早めに内科や整形外科を受診しましょう。オンライン診療のヤックルでも血液検査や治療相談が可能です。

応急処置:痛みが出たときの正しい対処法

発作が起きた場合の応急処置には、次の3つが有効です。
① 冷やす
患部を氷や冷却パックで冷やすことで炎症が和らぎます。温めると血流が増え炎症が悪化するため注意。
② 安静にする
歩行や運動で関節に負担をかけないようにし、安静を保ちます。痛風発作中に「歩けば治る」は誤りです。
③ アルコールを控える・水分をとる
脱水は尿酸値を上げるため、1日2リットルを目安に水を摂取。ビールや甘い清涼飲料水は控えましょう。
ロキソニンなどの市販薬(NSAIDs)は一時的な痛み止めとして有効ですが、根本治療にはなりません。腎機能に不安がある方は必ず医師に相談してください。

医療機関での検査と診断の流れ

痛風が疑われる場合、以下の検査が行われます。
血液検査:尿酸値を測定(7.0mg/dL以上で高尿酸血症)
尿検査:尿酸の排泄量を確認
超音波検査(エコー):関節内の結晶を可視化
関節液検査:尿酸結晶を直接確認(確定診断)
これらの検査で痛風と偽痛風(ピロリン酸カルシウム結晶性関節炎)を鑑別します。診断を受けた後は、発作の再発を防ぐための生活指導と薬物療法が必要です。

痛風の治療法:急性期と慢性期で異なる

急性期(発作中)

NSAIDs(ロキソニンなど)やコルヒチン、ステロイドを使用し、炎症を抑えます。尿酸値を下げる薬はこの時期には使用しません。発作中に尿酸値を下げる薬を始めると、かえって悪化する恐れがあるためです。

慢性期(再発予防)

発作がおさまった後、尿酸値を下げる薬を開始します。代表的な薬剤はフェブキソスタット(フェブリク)やアロプリノール(ザイロリック)などです。これらは血中の尿酸濃度をコントロールし、再発を防ぎます。治療と同時に生活習慣の改善も欠かせません。

再発予防のための生活習慣改善

痛風は「生活習慣病の一種」とも言われるほど、日常の行動が発症と再発に関わります。次のポイントを意識して改善を続けましょう。
食事
プリン体の多い食品(レバー、白子、魚卵、干物)を控える
肉や魚は適量を守る(1食あたり80〜100g程度)
アルコールは控えめに。特にビールはプリン体とアルコール両方のリスクがある
野菜、きのこ、海藻をバランスよく摂取
果糖を多く含むジュースやお菓子は控える
水分補給
水やお茶を1日2リットル以上摂取し、尿酸の排泄を促進。コーヒーや乳製品(牛乳・ヨーグルト)は尿酸値低下に寄与することが知られています。
運動
軽い有酸素運動(ウォーキング、ストレッチ)を週3回以上。激しい運動やサウナなど脱水を招く行為は避けましょう。
体重管理
肥満は尿酸値上昇の主要因です。ゆるやかな減量を目指し、BMI25未満を維持しましょう。
ストレス対策
ストレスも尿酸値を上げる原因になります。十分な睡眠と休息を心がけ、暴飲暴食を避けましょう。

痛風を放置すると起こる合併症

「痛みが治まったから大丈夫」と放置すると、慢性痛風に移行するリスクがあります。主な合併症は以下の通りです。
痛風結節:関節周囲にこぶのような腫れができる
尿路結石:尿酸結晶が尿路に詰まり、腎臓結石や血尿の原因に
腎障害(痛風腎):腎臓に尿酸がたまり、慢性腎不全を引き起こす
生活習慣病の悪化:高血圧・糖尿病・脂質異常症と相互に悪影響を及ぼす
尿酸値のコントロールは、関節痛だけでなく全身の健康を守るためにも重要です。

実際の体験談に学ぶ「初期症状を見逃さないために」

体験者の声には、次のような共通点があります。
「最初は足をぶつけたと思った」 「軽い違和感から12時間で激痛に」 「風が当たるだけでも痛くて眠れなかった」
中には、早期に受診して重症化を防げたケースもあります。
「健康診断で尿酸値が高いと指摘されていたので、違和感が出た時点で病院へ。薬治療で済みました」
このように、初期症状を正しく理解し、早期に行動することが最大の予防策です。

痛風の再発を防ぐには「継続管理」が鍵

痛風は「治る病気」ではなく、「管理できる病気」です。発作がなくても尿酸値が高い状態が続けば、再発や合併症のリスクが高まります。定期的な血液検査、食事・運動の見直し、医師の指導に基づく薬の継続が重要です。
オンライン診療でも定期フォローや薬の配送が可能なクリニックが増えています。忙しくても継続的に治療を続けられる環境を整えることが、再発防止の近道です。

違和感を感じたら、すぐに受診を

痛風はある日突然、激痛として現れますが、実際には前兆や軽い違和感の段階から始まっています。放置せず早めに受診することで、痛みを最小限に抑え、再発を防ぐことができます。尿酸値の管理は、痛風だけでなく全身の健康維持にもつながります。足の違和感を感じたら、まずは専門医へ相談を。

監修医師

楢橋 和真

楢橋 和真

経歴
2011年3月
獨協医科大学医学部医学科卒業
2011年4月
千葉県がんセンター 初期研修
資格

一般社団法人日本救急医学会 救急科専門医

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