健康診断で「コレステロール異常」と指摘されたら?放置せず早めの対処を!

2025年07月30日

コレステロール異常とは?

コレステロールとは?LDLとHDLの違い

HDL(善玉)とLDL(悪玉)の紹介

コレステロールは、細胞膜の構成やホルモンの材料に使われる、体にとって不可欠な脂質であり、健康診断でコレステロールの異常が見つかる人も多いため、無症状であってもその「質」と「バランス」に注意することが重要です。

よく「悪玉」「善玉」と表現されますが、これは優劣ではなく、それぞれの役割の違いを示した呼び方です。LDLは“悪玉”と呼ばれますが、これは細胞にコレステロールを届ける役割を持ち、体にとって不可欠な存在です。ただし、過剰になると血管壁にたまりやすく、動脈硬化の原因になります。一方でHDLは“善玉”とされ、余分なコレステロールを血管から回収し、肝臓へ運ぶことで、動脈硬化を防ぐ役割を担っています。

また、中性脂肪も血液中の脂質の一種で、エネルギー源として重要な働きをしますが、多すぎると脂質異常症の原因となります。

脂質異常症の3つの分類(日本動脈硬化学会基準)

脂質異常症は、血液中の脂質(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)のいずれか、あるいは複数が基準値を外れている状態を指します。主に以下の3タイプに分類され、それぞれに異なるリスクがあります。

これらは単独で現れることもあれば、複数が同時に異常値となることもあります。とくに複合型はリスクが高く、何も症状がなくても動脈硬化が進行しやすい状態といえます。

脂質異常はなぜ問題なのか?

脂質異常症は多くの場合、自覚症状がないまま進行します。しかし、LDLが増えることで血管の内側に「プラーク(脂の塊)」ができて、血管の内側を狭くし、血流を妨げるようになります。これが進行すると、血管の弾力性が失われ、動脈硬化を引き起こします。

動脈硬化はそれ自体がリスクとなるだけでなく、高血圧の原因にもなります。血管が硬く狭くなることで、心臓がより強く血液を押し出さなければならなくなり、結果として血圧が上昇します。そして高血圧の状態が続くと、心筋梗塞や脳梗塞など、命にかかわる疾患の発症リスクがさらに高まります。

これらの病気はある日突然症状として現れることが多く、発症してからでは取り返しのつかないことも少なくありません。そのため、「今は症状がないから大丈夫」と思ってしまうのは危険です。血管の中では確実に変化が進んでいる可能性があるため、症状が出る前に、予防的に治療を開始することがとても重要です。

早期に脂質異常を把握し、生活習慣の改善や必要に応じた治療を始めることで、動脈硬化の進行を防ぎ、将来の重篤な疾患のリスクを大きく減らすことができます。早期発見と積極的な対応が、長い目で見て自身の健康を守る鍵となります。

健康診断で異常を指摘されたらすぐに受診すべき?

よくある診断パターンと数値の読み方

健康診断の結果では「LDLが高い」「HDLが低い」「中性脂肪が多い」など、特定の項目で指摘されることがよくあります。前日の食事や運動、睡眠などによっても影響を受けるため、一度の結果に一喜一憂する必要はありませんが、軽視するのも禁物です。特に基準値から大きく外れている場合は、早めの再検査や医師の判断が必要です。

健康診断結果の見方

健康診断の結果表には、各項目の数値と基準値が並んで記載されており、「異常あり」とされた項目には*印や太字、または色分けなどの表示があります。特に脂質に関しては、

これらの項目のうち、いずれかの数値が基準値を超えていれば、脂質異常症と診断されることがあります。なお、数値だけでなく「比率」も大切で、LDL/HDL比やnon-HDLコレステロールなど、より詳細な評価が必要なこともあります。心配な場合は、医師に結果表を持参し、解説を受けましょう。

脂質異常症を放置するとどうなる?

脂質異常は時間をかけて進行する“静かなリスク”です。血管が徐々に硬く狭くなり、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中など重大な病気を引き起こすことがあります。また、糖尿病や高血圧と併発している場合、相乗的にリスクが高まります。「症状がない=安心」ではないことを知っておきましょう。図解

再検査や治療の判断基準とは?

健康診断の結果だけではなく、家族歴や年齢、喫煙・飲酒の習慣など、生活背景を含めて総合的に判断されます。LDLが高くても、他のリスク因子がなければ経過観察となることも。一方で、複数のリスクが重なる場合は、積極的な治療がすすめられます。まずは医師に相談することが大切です。

脂質異常の主な原因と対策

食生活の乱れ

脂質異常症の大きな原因の一つが食事です。揚げ物や肉類に多く含まれる飽和脂肪酸、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸の過剰摂取は、LDLの増加を招きます。また、野菜不足や炭水化物中心の食事も悪影響を与えます。バランスのとれた食生活を心がけることが基本です。

運動不足・生活習慣の乱れ

運動不足はHDLの低下や中性脂肪の増加を引き起こします。1日30分程度のウォーキングなど、継続的な有酸素運動が効果的です。また、睡眠不足やストレスによってホルモンのバランスが乱れると、脂質代謝に悪化を与えるため、規則正しい生活が重要です

体質や遺伝的要因もある

脂質異常は生活習慣だけでなく、遺伝や体質も関係します。特に家族に脂質異常の人がいる場合は注意が必要です。見た目が痩せていても、血中脂質が高いケースもあるため、体型にかかわらず検査を受けることが大切です。

どこからが治療が必要?薬が必要なケースとは

生活習慣の見直しで改善できるケース

軽度の脂質異常の場合、多くは生活習慣の改善で対応できます。特に遺伝的な要因がない場合、脂質異常症は長期にわたる生活習慣、すなわち食事や運動、睡眠、ストレスなどの積み重ねによって発症することがほとんどです。そのため、治療を開始する際は、まずご自身の生活習慣を見直すことが非常に重要となります。

食事の内容を改善し、継続的に運動を取り入れることで、3ヶ月ほどで血中脂質の数値が改善するケースも多く報告されています。これにより、薬の使用を回避できる場合もありますし、すでに薬物療法が必要とされる方であっても、生活習慣の改善を同時に行うことで、将来的な薬の減量や中止につながる可能性があります。

治療の効果を最大限に引き出し、合併症のリスクを下げるためにも、「薬に頼る前に」「薬を使いながらも」生活習慣の改善は欠かせません。医師と相談しながら、ご自身に合った改善目標を設定し、定期的な再検査で変化を確認していくことが大切です。

薬物治療が推奨されるケース

LDLが著しく高い場合や、既に動脈硬化が進行している場合、糖尿病・高血圧など他の疾患がある場合は、薬による治療が検討されます。スタチン系などの薬が処方されることが多く、数値の安定化と動脈硬化予防が目的です。医師の判断に従い、正しく服薬しましょう。

治療は継続することが大切

脂質異常の治療は長期戦です。薬を服用して数値が下がっても、自己判断で中断すると再発のリスクが高まります。特に、血液検査の数値が改善したからといって自己判断で服薬を中止するのは非常に危険です。必ず医師と相談しながら治療方針を決めましょう。

また、脂質異常症は基本的に無症状で進行するため、「治った気がする」「もう大丈夫かも」と思ってしまいがちですが、血液の状態や血管の健康状態が安定するまでは、根気強く治療を継続していく必要があります。

副作用が心配な場合でも、勝手に薬を中止せず、医師と話し合って調整していくことが大切です。定期的な検査と診療によるフォローアップを続けることで、将来的な合併症の予防にもつながります。

忙しくて通院できない人に|オンライン診療という選択肢

オンライン診療なら自宅で受診・処方が可能

オンライン診療を活用すれば、スマートフォンやパソコンから医師の診察を受けることができ、必要に応じて処方薬も自宅に配送されます。時間や場所に縛られず、継続的な治療が可能になるため、忙しい方にとって非常に便利な選択肢です。

こんな人におすすめ

・日中は仕事で通院が難しい方 ・子育てや介護などで外出が難しい方 ・治療を始めたいが、まずは気軽に相談してみたい方 オンライン診療は、医療をもっと身近なものにしてくれます。

オンラインでも医師の継続的なフォローが可能

オンラインでも医師との継続的なフォローは可能です。自宅での血液検査と組み合わせることで、数値の変化に応じた薬の調整や生活習慣のアドバイスが受けられます。治療を継続しやすい環境を整えることが、将来的な健康維持につながります。

まとめ|健康診断後の「コレステロール異常」は初動が大切!

早めの行動が未来の健康を守る

脂質異常は早期に気づき、適切に対処すれば十分にコントロール可能な疾患です。健診結果を見て不安になった時こそ、行動のタイミング。放置せず、まずは医師に相談してみましょう。

継続治療が鍵。負担を減らして続ける方法を探そう

脂質異常の治療は継続が重要です。日々の生活に無理なく取り入れられる方法、たとえばオンライン診療などを上手く活用することで、負担を減らしながら治療を続けることができます。

まずは相談から。気になる方は早めの受診を

「何から始めたらいいかわからない」という方こそ、まずは相談を。医師と一緒に、自分に合った対策を見つけることが、将来の健康を守る第一歩となります。

監修医師

楢橋 和真

楢橋 和真

経歴
2011年3月
獨協医科大学医学部医学科卒業
2011年4月
千葉県がんセンター 初期研修
資格

一般社団法人日本救急医学会 救急科専門医

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