
高血圧と診断されると、好きな飲み物も我慢しなければならないのでは…と不安になりますよね。特にコーヒーは、血圧を上げるというイメージがあり、控えている方も多いかもしれません。
しかし、最近の研究では、コーヒーが高血圧に与える影響は必ずしも悪いものばかりではないことが分かってきています。
この記事では、医師監修のもと、高血圧の方でもコーヒーを安心して楽しめる方法、適切な摂取量、注意点などを詳しく解説します。
コーヒーが血圧に与える影響
カフェインによる一時的な血圧上昇
コーヒーに含まれるカフェインには、交感神経を活性化させる働きがあります。交感神経が活発になると血管が収縮し、その結果、血圧が一時的に上昇しやすくなります。
これは高血圧の方にも当てはまります。ある研究では、高血圧の方が1.5~2杯分のコーヒーに相当する200~300mgのカフェインを摂取すると、一時的に血圧が上昇したことが報告されています。
摂取カフェイン量 | 収縮期血圧(上の血圧) | 拡張期血圧(下の血圧) |
---|---|---|
約200~300mg(コーヒー1.5~2杯分相当) | 平均8.1mmHg上昇 | 平均5.7mmHg上昇 |
ただし、この上昇は一時的なもので、長期間コーヒーを飲み続けても、血圧が上がり続けることは確認されていません。
クロロゲン酸の血圧上昇抑制効果
一方で、コーヒーにはクロロゲン酸というポリフェノールの一種が豊富に含まれています。クロロゲン酸は、強力な抗酸化作用を持つだけでなく、血圧上昇抑制効果、血糖降下作用、抗肥満作用も期待されています。
動物実験では、クロロゲン酸の摂取により血圧が低下したという報告が複数存在します。これはクロロゲン酸の持つ強力な抗酸化作用が、血管の老化や硬化を防ぎ、柔軟性を保つことで血圧上昇を抑制する効果に繋がっていると考えられています。血管が柔らかくしなやかな状態であれば、血流がスムーズになり、血圧の上昇が抑えられるのです。
また、ヒトを対象とした研究でも、コーヒーの摂取により血圧が改善したという報告があり、この効果の一部はクロロゲン酸によるものと考えられています。
長期的な影響は?最新研究結果のまとめ
カフェインによる一時的な血圧上昇がある一方で、コーヒーを長期間飲み続けても、血圧に大きな影響は見られないという研究結果も報告されています。
2週間から12週間という長期間、コーヒーを摂取し続けた場合とカフェイン抜きの食事を取った場合を比較した研究では、血圧の上昇は認められませんでした。
カフェイン | 一時的な血圧上昇 |
---|---|
クロロゲン酸 | 血圧上昇抑制効果 |
長期的な影響 | 今のところ大きな影響は見られない |
このようにコーヒーと血圧の関係は複雑であり、いまだ研究段階です。
高血圧の方は、自身の血圧への影響を注意深く観察しながら、コーヒーを摂取することが大切です。
高血圧の方がコーヒーを飲む上での注意点

高血圧の方がコーヒーを飲む際に注意すべき点について解説します。ポイントを押さえて、安全にコーヒーを楽しみましょう。
適切な摂取量は1日3~4杯まで
コーヒーを飲む際に、高血圧の方は摂取量に注意することが大切です。
1日に3~4杯までを目安とし、過剰摂取を避けるようにしましょう。カフェインには一時的に血圧を上昇させる作用があるため、一度に大量に摂取すると血圧への負担が大きくなってしまいます。
また、カフェインレスコーヒーでも1日に何杯も飲んでしまうと、カフェイン以外の成分の影響で体調を崩してしまう可能性があります。そのため、カフェインレスコーヒーであっても飲み過ぎには注意が必要です。
コーヒーの種類 | 摂取量の目安 |
---|---|
カフェイン入りコーヒー | 1日3~4杯まで |
カフェインレスコーヒー | 1日3~4杯まで |
血圧への反応は個人差があるため、自身でモニタリングする
コーヒーを飲んだ時の血圧への反応には個人差があります。カフェインに対する感受性は人によって異なり、少量でも血圧が大きく上昇する人もいれば、あまり影響を受けない人もいます。
高血圧の方は特に、コーヒーを飲んだ後の血圧の変化に注意を払う必要があります。
自身で血圧をモニタリングすることは、コーヒーが自分にどのような影響を与えるかを把握するために非常に重要です。
家庭用血圧計を使って、コーヒーを飲む前と飲んだ後(30分後や1時間後など)の血圧を測り、記録してみましょう。毎日同じ時間に測定することで、より正確なデータを得ることができます。
<血圧の記録表の例>
測定タイミング | 収縮期血圧(上の血圧) | 拡張期血圧(下の血圧) |
---|---|---|
コーヒーを飲む前 | ||
コーヒーを飲んだ30分後 | ||
コーヒーを飲んだ1時間後 |
血圧の変化を記録することで、自分の体質に合ったコーヒーの飲み方を見つけることができます。
もし、コーヒーを飲んだ後に血圧が大きく上昇する場合は、摂取量を減らす、カフェインレスコーヒーに切り替える、またはコーヒーを控えるなどの対策が必要です。
持病がある場合は医師に相談
高血圧は様々な疾患と合併しやすく、また持病によっては特定の成分の摂取に注意が必要な場合があります。高血圧に加えて他の持病をお持ちの方は、コーヒーを飲む前に医師に相談することをおすすめします。
例えば、下記のような疾患をお持ちの方は、コーヒーに含まれるカフェインの影響を特に受けやすい可能性があります。
疾患 | カフェインの影響 |
---|---|
不整脈 | 動悸や脈の乱れを悪化させる可能性 |
不安障害 | 不安感を増強させる可能性 |
睡眠障害 | 睡眠の質を低下させる可能性 |
胃潰瘍 | 胃酸分泌を促進し、症状を悪化させる可能性 |
腎臓病 | 腎臓への負担を増大させる可能性 |
また、現在服用中のお薬がある場合、コーヒーとの飲み合わせに注意が必要な場合があります。カフェインは特定の薬の効果を強めたり弱めたりする可能性があります。
ご自身の持病や服用中のお薬との関係について、医師に相談することで、安全にコーヒーを楽しむことができます。
血圧に良いコーヒーの飲み方

ブラックコーヒー:砂糖やミルクは避ける
高血圧の方がコーヒーを飲む際に最も推奨される飲み方はブラックコーヒーです。砂糖やミルクを大量に加えると、カロリーや糖質の過剰摂取につながり、高血圧のリスクを高める可能性があります。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸などの抗酸化物質には、血圧上昇を抑制する効果が期待されています。
しかし、砂糖やミルクを大量に加えることで、これらの健康効果を損なうばかりか、健康リスクを高める可能性があります。特に市販の加糖コーヒー飲料やコーヒーフレッシュには、多量の糖分や脂質が含まれているため注意が必要です。
高血圧の予防・改善のためには、ブラックコーヒーでコーヒー本来の香りと健康効果を楽しみましょう。
カフェインレスコーヒー:カフェインの影響を避けたい場合に
カフェインレスコーヒーは、カフェインの影響を避けたい方にとって、通常のコーヒーの代替飲料としておすすめです。カフェインによる血圧上昇を懸念している高血圧の方も安心して飲むことができます。
カフェインレスコーヒーはカフェインが除去されているため、カフェインによる刺激を避けたい方、妊娠中や授乳中の方、夜にコーヒーを飲みたい方にも適しています。
しかし、カフェインが完全に除去されているわけではないので、ごく少量のカフェインが含まれている可能性があることを理解しておく必要があります。カフェインに非常に敏感な方は、摂取量に注意しましょう。
また、カフェインレスコーヒーを選ぶ際には、カフェインの除去方法にも注目してみましょう。水抽出法、有機溶媒抽出法、超臨界二酸化炭素抽出法など、様々な方法がありますが、風味への影響が少ないのは水抽出法や超臨界二酸化炭素抽出法です。
製法 | カフェイン除去率 | 風味への影響 |
---|---|---|
水抽出法 | 97%以上 | 比較的風味への影響が少ない |
有機溶媒抽出法 | 97%以上 | 薬品臭がわずかに残る可能性がある |
超臨界二酸化炭素抽出法 | 97%以上 | 風味への影響が少ない |
カフェインレスコーヒーを選ぶ際は、カフェインの除去方法にも注目し、好みに合ったものを選びましょう。
就寝前のコーヒーはNG:睡眠の質への影響
カフェインには覚醒作用があり、眠気を覚ましたり、集中力を高めたりする効果があります。しかし、就寝前にコーヒーを飲むと、このカフェインの作用によって寝つきが悪くなったり、睡眠が浅くなったりすることがあります。
睡眠不足は、高血圧を悪化させる要因の一つです。質の良い睡眠をとることで、血圧を安定させることができます。高血圧の方は、就寝前のコーヒーは避け、睡眠の質を確保することが大切です。
時間帯 | コーヒー | 影響 |
---|---|---|
日中 | 〇 | 集中力向上、眠気防止 |
夕方以降 | △ | 睡眠への影響に注意 |
就寝前 | × | 睡眠の質低下 |
カフェインの影響には個人差があります。夕方以降にコーヒーを飲んで、睡眠に影響が出た方は、カフェインレスコーヒーへの切り替えや、コーヒーを飲む時間を早めるなどの工夫をしましょう。
コーヒー以外の高血圧対策
高血圧対策には、コーヒーの飲み方以外にも様々な方法があります。日々の生活習慣を見直すことで、血圧をコントロールし、健康的な生活を送ることに繋がります。
ここでは、コーヒー以外の高血圧対策について解説します。
高血圧対策として重要なのは、減塩、適度な運動、禁煙、ストレス管理、バランスの取れた食事です。
項目 | 内容 |
---|---|
減塩 | 食生活における塩分摂取量を減らすことが重要です。1日の塩分摂取量の目標値は6g未満です。インスタント食品や加工食品は塩分が多い傾向があるので注意しましょう。 |
適度な運動 | ウォーキングなどの有酸素運動は、血圧を下げる効果があります。1日30分程度の運動を週に数回行うようにしましょう。 |
禁煙 | 喫煙は血圧上昇の大きなリスク要因です。禁煙することで血圧を下げ、心臓病などのリスクを減らすことができます。 |
ストレス管理 | ストレスをため込むと血圧が上昇する可能性があります。リラックスする時間を作ったり、趣味を楽しんだりするなど、ストレスをため込まない生活習慣を心がけましょう。 |
バランスの取れた食事 | 野菜、果物を中心とした健康的な食事は、高血圧予防に効果的です。特にカリウムを多く含む食品は、ナトリウムの排泄を促し、血圧を下げる効果があります。 |
これらの高血圧対策と、適切なコーヒーの飲み方を組み合わせることで、より効果的に血圧を管理することができます。
よくある質問
Q1.コーヒーを飲むと、必ず血圧は上がってしまうのでしょうか?
A1. コーヒーを飲むと必ず血圧が上がるとは限りません。コーヒーに含まれるカフェインには血管を収縮させる作用があり、一時的に血圧を上昇させる可能性があります。しかし、コーヒーには血管を広げる作用のあるクロロゲン酸も含まれており、その影響は複雑です。また、個人の体質やコーヒーの飲み方によっても血圧への影響は異なってきます。
Q2.高血圧の人は、コーヒーを全く飲んではいけないのでしょうか?
A2. 高血圧だからといって、コーヒーを全く飲んではいけないわけではありません。1日に3~4杯程度のコーヒーであれば、高血圧のリスクを高めるという明確な根拠はありません。ただし、血圧への反応には個人差がありますので、コーヒーを飲んだ後に血圧を測るなどして、ご自身の体質を確認することが大切です。また、持病がある場合は医師に相談するようにしてください。
Q3.高血圧の人がコーヒーを飲む際に、注意すべき点はありますか?
A3. はい、いくつかあります。まず、砂糖やミルクを大量に加えると、糖分や脂質の過剰摂取につながり、かえって高血圧のリスクを高める可能性があります。ブラックコーヒーで飲む、もしくは砂糖やミルクを控えめにすることをお勧めします。また、カフェインの影響を避けたい場合は、カフェインレスコーヒーを選ぶと良いでしょう。最後に、就寝前のコーヒーは睡眠の質を低下させ、結果的に血圧にも悪影響を与える可能性があるため、避けるべきです。
まとめ:高血圧と上手につきあいながらコーヒーを楽しむために
コーヒー以外にも、減塩・適度な運動・ストレス管理など、高血圧対策は多岐にわたります。バランスの良い生活習慣を心がけ、コーヒーと上手につきあいながら、健康的な毎日を送りましょう。
高血圧の管理には、医師のアドバイスを受けることも重要です。
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