【医師監修】高血圧の食事療法:身近な食材で始める健康レシピと続けやすい食事とは?

2025年04月09日

高血圧は、日本人の三大死因である心疾患、脳血管疾患、腎疾患に深く関わっています。

高血圧と診断された場合は、薬物療法だけでなく、食事療法を中心とした生活習慣の改善が非常に重要です。毎日の食事を見直すことで、血圧をコントロールし、健康的な生活を送ることができます。

このページでは、医師監修のもと作成した信頼できる情報に基づき、高血圧のメカニズムから、今日から始められる食事療法、具体的なレシピまで、高血圧改善のための食事に関する情報を網羅的に解説します。

高血圧の不安を抱えている方、健康な食生活を送りたい方は、ぜひ参考にしてください。

命に関わる合併症を防ぐ!高血圧と食事療法の関係

高血圧が及ぼす健康への影響

高血圧は、心臓病や脳卒中など、命に関わる重大な病気のリスクを高める危険因子です。

診察室血圧 (mmHg)
(収縮期血圧、拡張期血圧)
家庭血圧 (mmHg)
(収縮期血圧、拡張期血圧)
正常血圧<120 かつ <80<115 かつ <75
正常高値血圧120–129 かつ <80115–124 かつ <75
高値血圧130–139 かつ/または 80–89125–134 かつ/または 75–84
I 度高血圧140–159 かつ/または 90–99135–144 かつ/または 85–89
II 度高血圧160–179 かつ/または 100–109145–159 かつ/または 90–99
III 度高血圧≧180 かつ/または ≧110≧160 かつ/または ≧100
(孤立性)収縮期高血圧≧140 かつ <90≧135 かつ <85

高血圧は自覚症状が現れにくいため、「サイレントキラー」とも呼ばれています。高血圧を放置すると、血管に負担がかかり続け、動脈硬化が進行します。動脈硬化は、血管の弾力性を失わせ、血液の流れを阻害します。

高血圧は、遺伝や加齢などの要因に加え、食生活、運動習慣、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣も深く関わっています。これらの生活習慣を改善することで、血圧をコントロールし、合併症のリスクを減らすことが期待できます。

食事療法で血圧コントロール

特に食事療法は、高血圧の予防と改善に不可欠です。食生活の改善によって、薬に頼らず血圧コントロールできる可能性が高まります。

特に重要なのは減塩です。過剰な塩分(ナトリウム)は体内の水分貯留を促し、血液量が増加することで血圧を上昇させます。

また、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルは、ナトリウムの排泄を促し、血圧を下げる効果が期待できます。食物繊維もコレステロールの吸収を抑え、血管の健康を維持することで血圧上昇を抑制します。

さらに、野菜、果物、魚、大豆製品などを積極的に摂り、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。適正体重の維持も重要です。肥満は高血圧のリスクを高めるため、バランスの取れた食事と適度な運動で体重管理を行いましょう。

取り組むべき点方法
減塩1日6g未満に抑える。加工食品、外食に注意。
ミネラル摂取カリウム、カルシウム、マグネシウムを多く含む食品を摂る。
食物繊維摂取野菜、果物、海藻などを積極的に摂る。
バランスの良い食事主食、主菜、副菜を揃え、様々な食品を食べる。
適正体重の維持バランスの良い食事と適度な運動を心がける。

このように、食事療法は、高血圧のコントロールに大きな役割を果たします。食生活の改善を図り、健康的な血圧を維持していきましょう。次のセクションでは、上記の具体的な取り組み方や、効果的な食材についてご紹介していきます。

今日からできる!高血圧改善のための食事療法の基本

高血圧の食事療法というと、厳しい制限が必要で大変そうに感じるかもしれません。しかし、少しの工夫で毎日の食事を血圧コントロールに役立てることができます。この章では、高血圧改善のための食事療法の基本を解説します。

減塩:具体的な目標値と実践方法(調味料、加工食品、外食時の注意点)

厚生労働省では、1日の食塩摂取目標値を6g未満としています。

日本人の平均摂取量は、男性11.0g、女性9.3gと、目標値を大きく上回っています。

目標達成のためには、食材選び、調理法、食事中の工夫が必要です。

場面具体的な実践方法
食材選び・加工食品(ハム、ソーセージ、かまぼこなど)の量や頻度を控える
・ドレッシングは、食塩量を確認してから購入する
・漬物、佃煮などを常備しない
調理・だしをしっかり効かせ、調味料の使用量を減らす
・酸味、薬味、スパイスを上手に活用する
・食材は大きめにカットする
・減塩調味料を使う場合も計量をしっかり行う
食事中・麺類の汁は残す
・しょうゆやソースは、かけるのではなく小皿にとって使う
・外食では、味噌汁や漬物を残す
・市販弁当の調味料は、使わないか、半量残す

これらの工夫を日常生活に取り入れることで、無理なく減塩を進めていきましょう。

カリウムの摂取:高血圧予防効果とおすすめの食材

カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあり、高血圧予防に効果的です。

1日の摂取目標量は男性3,000mg、女性2,600mgですが、日本人の平均摂取量は不足しています。

高血圧予防のため、カリウムを多く含む野菜、果物、いも類、大豆製品、海藻、肉、魚などを積極的に摂り、バランスの良い食事を心がけましょう。
 

<カリウムが豊富に含まれる食品(1食分の目安と重量)>

食品名1食分の目安重量(g)カリウム含有量(mg)
バナナ1本100360
焼き芋1本150540
納豆1パック40180
ほうれん草のおひたし1皿70250
きゅうりの浅漬け1皿80100

カリウムは水に溶けやすい性質があるため、調理方法によっては損失してしまいます。ゆでるよりも蒸したり、電子レンジで加熱する調理法がおすすめです。煮物の場合は、煮汁ごと食べられるように工夫しましょう。また、生で食べられる野菜や果物は、そのまま食べることで効率的にカリウムを摂取できます。

バランスの良い食事:栄養素の役割と推奨摂取量

カリウムの他に、高血圧を予防・改善するためには、様々な栄養素をバランス良く摂取することが重要です。1日に必要なエネルギー量を確保しつつ、栄養バランスのとれた食事を摂るようにしましょう。

高血圧対策に有効な栄養素は以下の通りです。

栄養素働き多く含まれる食品
カルシウム血圧を調整する働き牛乳、ヨーグルト、チーズ、小松菜
マグネシウム血管を拡張し、血圧を下げる効果大豆、アーモンド、ひじき
食物繊維血圧上昇を抑える効果玄米、雑穀、野菜、きのこ類

これらの栄養素は、単独で摂取するよりも、組み合わせて摂取することで、より効果的に高血圧を予防・改善することができます。例えば、カリウムとカルシウム、マグネシウムと食物繊維など、相乗効果が期待できる栄養素を一緒に摂るように心がけましょう。

美味しいから続く!高血圧予防・改善に効果的な食材とレシピ

簡単で続けやすいレシピ

高血圧対策の食事療法を継続するには、無理なく続けられるレシピが重要です。和食中心に、時短調理できる料理を取り入れ、飽きずに続けましょう。具体的なレシピを2つ紹介します。

1. 鶏むね肉の梅しそ蒸し(和食)

鶏むね肉は高たんぱく低脂肪で高血圧予防に効果的です。梅干しのクエン酸は疲労回復にも役立ちます。

材料(2人分):鶏むね肉1枚、梅干し大2個、大葉4枚、酒大さじ1、塩少々

作り方:

  1. 鶏むね肉は皮を取り、厚さを均一にしてフォークで数カ所穴をあける。
  2. 梅干しは種を取り、包丁で叩く。大葉は千切りにする。
  3. 耐熱皿に鶏むね肉を置き、酒、塩を振る。梅干しを乗せ、ふんわりとラップをして電子レンジ(600W)で5~6分加熱する。
  4. 鶏むね肉を取り出し、食べやすい大きさに切って器に盛り、残った蒸し汁をかけ、大葉を添える。
2. 鮭のホイル焼き(洋食)

鮭のEPA・DHAは血液をサラサラにし、血圧を下げる効果が期待できます。野菜も一緒に摂れば栄養バランスも向上します。

材料(2人分):生鮭2切れ、玉ねぎ1/2個、しめじ1/2パック、アスパラガス4本、バター10g、レモン汁小さじ1、塩・こしょう少々

作り方:

  1. バター、レモン汁、塩、こしょうを鮭にかけ、ホイルを包み、オーブントースターで10~15分焼く。
  2. 玉ねぎは薄切り、しめじは石づきを取り小房に分ける。アスパラガスは根元の硬い部分を切り落とし、半分に切る。
  3. アルミホイルに玉ねぎ、しめじ、アスパラガスを敷き、鮭を乗せる。

季節ごとの旬な食材を使ったレシピ

高血圧対策の食事療法を継続していくためには、飽きがこないように工夫することが大切です。旬の食材は栄養価が高く、価格もお手頃な場合が多いので、積極的に献立に取り入れましょう。ここでは、春夏秋冬それぞれの季節に合わせた、高血圧予防・改善に効果的なレシピをご紹介します。

季節食材レシピ例
菜の花、たけのこ、あさり菜の花とあさりのパスタ、たけのこと鶏肉の煮物
トマト、きゅうり、なす夏野菜カレー、冷やし中華
きのこ、さつまいも、さんまきのこと鮭の炊き込みご飯、さんまの塩焼き
ほうれん草、大根、ぶりぶり大根、ほうれん草とベーコンのソテー

忙しいあなたに!ミールキットの活用も

また、ミールキットを活用すれば、様々な料理を簡単に作ることができます。特に、高血圧の食事療法では、栄養バランスと減塩が重要ですが、毎日それを実践するのは大変です。ミールキットは、これらの点を考慮したメニューを提供しているため、高血圧の方にもおすすめです。

下記に、高血圧の方におすすめのミールキットサービスをいくつか紹介します。

サービス名特徴献立例価格帯配送エリアURL
メディカルフードサービス「塩分制限食」塩分1.7g以下、食物繊維・コレステロールも配慮サバの香り焼き、根菜のあっさり煮など1食857円〜全国(冷凍)https://medifoods.jp/enbun/
ウェルネスダイニング「塩分制限気配り宅配食」香辛料や出汁で美味しく減塩ハンバーグきのこソース、ジャーマンポテトなど1食669円〜全国(冷凍)https://www.wellness-dining.com/kikubari/products/k120/
Dr.つるかめ キッチン「塩分制限気づかい御膳」専門医&管理栄養士W監修白身魚の唐揚げ甘酢あんかけ、ひじきの和え物など1食684円〜全国(冷凍)https://tsurukame-kitchen.com/menu/post-93
食宅便「塩分ケア」豊富なメニューと季節限定コース鰆の幽庵焼き、コロッケなど1食620円〜全国(冷凍)https://shokutakubin.com/shop/default.aspx
まごころケア食「塩分制限食」全84種類のメニューから選択可能ポークケチャップ、パプリカと筍の炒め物など1食462円〜全国(冷凍)https://magokoro-care-shoku.com/
ヨシケイ「ヘルシーミール」塩分・エネルギー・糖質制限食白身魚のソテートマトソース、豚肉と野菜の炒め物など1食640円〜エリア限定(冷凍)https://yoshikei-dvlp.co.jp/
nosh(ナッシュ)糖質・塩分制限された食事、冷凍で長期保存可能栄養価計算された様々なメニュー1食あたり約600円~全国https://nosh.jp/

サービスを選ぶ上でのポイント

自分に合ったミールキットサービスを利用することで、高血圧対策の食事療法を無理なく継続することができます。

あなたは出来ている?食生活以外で血圧を下げるための生活習慣

食生活の改善と並んで、高血圧対策にはその他の生活習慣の見直しも重要です。ここでは、血圧を下げるために効果的な生活習慣の改善点について解説します。

高血圧と生活習慣には密接な関係があります。食生活以外にも、下記のような生活習慣の改善が血圧コントロールに繋がります。

項目具体的な方法効果
適正体重の維持BMI25未満を目標に、バランスの良い食事と適度な運動を継続する肥満は高血圧の大きなリスク要因。体重管理は血圧を下げるだけでなく、様々な生活習慣病の予防にも繋がります。
運動1回30分以上の軽い有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど)を週のほとんどの日に行う運動不足は血圧上昇に繋がります。適度な運動は血圧を下げるだけでなく、ストレス軽減や睡眠の質向上にも効果的です。
睡眠毎日同じ時間に寝起きし、質の高い睡眠を7時間程度確保する睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、血圧上昇のリスクを高めます。規則正しい睡眠習慣を身につけましょう。
ストレス管理趣味やリラックスできる活動でストレスを発散するストレスは血管を収縮させ、血圧を上昇させます。自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
禁煙禁煙外来などを利用する喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させるだけでなく、動脈硬化を進行させるため、高血圧のリスクを高めます。
アルコール飲酒量を控えめにする過度の飲酒は血圧を上昇させます。節度ある飲酒を心がけましょう。

これらの生活習慣の改善は、単独で行うよりも、組み合わせて行うことでより大きな効果が期待できます。

高血圧の食事療法に関するよくある質問

高血圧の食事療法には、様々な疑問がつきものです。よくある質問とその回答を通して、より理解を深め、安心して食事療法に取り組めるようにしましょう。

Q1.減塩以外の食事制限は必要ですか?

A1. 減塩は重要ですが、それだけが全てではありません。栄養バランスの良い食事を摂ることが大切です。特に、カリウムの摂取は、ナトリウムの排泄を促すため、積極的に摂り入れましょう。脂質異常や糖尿病などを合併している場合は、それぞれの病気に合わせた食事療法も必要になりますので、医師に相談しましょう。

Q2.サプリメントで血圧は下げられますか?

A2. 特定の栄養素をサプリメントで補うだけでは、高血圧は改善しません。バランスの良い食事と健康的な生活習慣の改善が基本です。高血圧の薬を服用中の方は、サプリメントとの飲み合わせに注意が必要です。医師や薬剤師に相談しましょう。

Q3. 外食が多い場合の食事療法の工夫は?

A3. 外食が多い場合でも、以下の点に注意することで、減塩を心がけることができます。

工夫説明
汁物を残す味噌汁やスープの汁はなるべく残す。
香辛料を活用する七味唐辛子や胡椒などで風味を加えて、塩味を補う。
ドレッシングは別添えにするドレッシングはかけずに、少量ずつつけて食べる。
和食中心にする洋食に比べて、比較的塩分の少ない和食を選ぶ。

高血圧の食事療法は継続することが大切です。疑問や不安があれば、医師や管理栄養士に相談し、自分に合った方法を見つけるようにしましょう。

まとめ:今日から始める高血圧対策

高血圧対策の効果は、毎日の積み重ねによって現れます。今日からできる食事療法で血圧をコントロールし、健康的な生活を目指しましょう。

また、家庭用血圧計で定期的な測定と記録を行い、自身の血圧の状態を把握しましょう。そして、気になることは医師に相談し、解決に向けてのサポートを受けることが重要です。

高血圧の管理で不安を感じている方、あるいは通院が難しい方には、オンライン診療サービス「ヤックル」がおすすめです。

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ヤックルの医師紹介

監修医師

楢橋 和真

楢橋 和真

経歴
2011年3月
獨協医科大学医学部医学科卒業
2011年4月
千葉県がんセンター 初期研修
資格

一般社団法人日本救急医学会 救急科専門医

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