
その痛み、またやってきた…でも治療を始めるのは“今”じゃない?
「また来たか…でも仕事休めないし、とりあえず痛み止めでごまかそう」
「そろそろちゃんと治療しなきゃとは思ってる。でも今は忙しいし…」
治療がついつい後回しになる方にこそ、知っておいてほしいことがあります。
実は、今まさに痛風発作が出ているときに尿酸値を下げる薬を飲むのは、逆効果。
その判断が、次の激痛を招いてしまうかもしれません。
痛風発作は、体の中で炎症戦争が起きている状態

痛風は、体内にたまった尿酸が結晶になり、関節に沈着して炎症を起こす病気です。
特に足の親指の付け根などに激痛が走るのが特徴で、「風が吹いても痛い」と言われるほど。
このとき体内では、関節内の尿酸結晶を敵とみなして免疫細胞が攻撃し、大規模な炎症反応が起きている状態。
つまり痛風発作は、体の中で免疫が暴れている真っ最中なのです。
なぜ発作中に尿酸値を下げると逆効果になるのか?

尿酸値を下げる薬は、尿酸生成を抑制する薬(アロプリノール、フェブキソスタットなど)と、尿酸の排泄を促進する薬(ベンズブロマロン、ユリスなど)の2種類です。これらは、体内の尿酸を減らすことで長期的に発作を防ぐ薬ですが、初めて痛風発作が出た方においては、発作中にこれらの薬を服用するのは注意が必要です。発作の最中にこの薬を飲んでしまうと以下のようなことを引き起こしかねません。
・関節に溜まっていた尿酸結晶が一気に溶け出す
・血中の尿酸濃度が変動し、さらに免疫反応が活性化
・炎症が広がり、発作が長引いたり悪化する可能性がある
これは、氷が急に溶けて水が一気に広がるようなもの。
体内でも同じように、混乱と炎症が広がってしまうのです。
痛風発作時の正しい対処法は?
発作が起きたときの対応は、以下の2ステップが基本です。
① 痛みを抑える
- ロキソニンやボルタレンなどの炎症や痛みを抑える薬(消炎鎮痛薬)
- コルヒチンなど、痛風発作の症状を抑える薬
まずはこのような薬で痛みと炎症をコントロールします。
② 発作が治まってから、尿酸値を下げる治療を開始
- 通常は、発作が完全に引いた2〜4週間後が目安
- アロプリノールやフェブキソスタットなど、尿酸生成や排出をコントロールする薬を医師の指導のもとで開始
痛風は「通過点」ではなく「生活習慣病の警告」
痛風発作がたまにしか起きないからといって、軽く見ていませんか?
実は、体の中では腎臓や血管がじわじわとダメージを受け続けている状態かもしれません。
・慢性的な高尿酸血症は、腎機能の低下、最悪の場合透析のリスクも
・尿酸値が高い人は、心筋梗塞や脳卒中のリスクも増加
「また発作が来たら考えよう」ではなく、「今だからこそ動くべき」と考えることが、健康への第一歩です。
今が治療のタイミングとは限らない
痛風発作は確かにツライものですが、発作中は「尿酸値を下げる薬の開始時期」ではないということを、ぜひ覚えておいてください。
大切なのは、
- 発作時は炎症を抑えることに集中
- 落ち着いてから、継続的な尿酸値管理を始める
- 医師と相談し、無理なく治療を続けていく
というステップを踏むことです。
今、痛みが落ち着いているなら、それは治療を始めるチャンス。
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