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糖尿病は、生活習慣が原因となる可能性があるため、国民の5〜6人に1人の確率で発症すると言われているほど身近な病気です。ただし、決して軽い病気ではないのが糖尿病で、進行すると重い症状や重大な合併症を引き起こすリスクがあります。
糖尿病は、早期発見をして生活習慣の改善や薬物治療などで血糖値を正常にコントロールしていく必要があります。では、どんな症状が出たら糖尿病と気付けるのでしょうか。そもそも糖尿病と気付ける自覚症状はあるのでしょうか。
糖尿病による高血糖の状態が続くと尿に影響が出るケースがあるため、生活をしていて気付きやすい「尿」に焦点を当てて糖尿病の症状を詳しく解説していきます。
糖尿病ってどんな病気?
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私たちの身体は、すい臓から分泌されるインスリンの働きによって、血液中のブドウ糖が細胞に吸収されることでエネルギー源を作っています。
ただし、糖尿病を発症するとインスリンの機能が低下するため、ブドウ糖が細胞に吸収されず血液中に溢れてしまう「高血糖」の状態が続きます。インスリンが正常に働いていれば、ブドウ糖の量を一定に保てるため血液中に溢れることはありません。これが血糖が正常の状態と、糖尿病による高血糖の違いです。
糖尿病は血液検査によって発覚するケースが多く、血糖値とHbA1cのいずれかが基準値以上の場合に糖尿病と診断されます。それぞれの基準値は以下の通りです。

インスリンの機能低下には、遺伝や生活習慣が理由ですい臓から分泌されるインスリンが低下したり、遺伝や自己免疫疾患などによってインスリン分泌細胞が破壊されたりといった理由が挙げられます。
糖尿病の初期症状は尿に出るって本当?
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糖尿病の初期症状は尿に異変が出ると言われていますが、実際には血糖値の上昇は軽い初期症状の段階では、尿の異変を含めて自覚症状がでないことがほとんどです。
ただし、高血糖の状態が続いたり糖尿病が進行したりすると、血管が傷ついたり神経や臓器に影響を与えたりしてさまざまな自覚症状が出ます。尿の異変もそのひとつで、尿の量や色・においや状態などに変化が現れます。
糖尿病患者の尿の特徴

初期段階での自覚症状はほぼない糖尿病ですが、血糖値が高い状態が続くと尿にも異変が現れます。糖尿病患者が自覚する主な尿の症状は以下の通りです。
尿の回数や量が増える(多尿)
糖尿病によって血液中のブドウ糖が増える=ブドウ糖濃度が高くなると、この濃度を薄めようと身体が水分を欲します。これにより、口が乾く症状がでて飲み物を多く飲み、多尿の症状へ繋がります。多尿の基準は1日の尿量が3,000ml以上です。
正常の尿量は体重によって異なりますが、50㎏なら1,000ml・体重70kgなら1,400ml程度が目安です。多尿は正常量の2~3倍ほど尿が出るため、日中だけでなく夜間にも頻回にトイレへ行く行動が見られます。
尿の色が変わる
通常の尿は、淡黄色や淡黄褐色の場合が多いですが、糖尿病によって口が乾くため水分を多く摂取することで、尿の色がほぼ透明になります。
ただし、糖尿病患者の尿が必ず透明とは言い切れません。高血糖によって体内は水分を欲しているにも関わらず水分補給をしないと、脱水傾向になります。脱水症状が起きているときの尿は色が濃くなるため、透明とは逆に色が濃くなる場合もあります。
また、黒ずんだ茶色に近い褐色のような尿になったり、尿が濁ったりする場合もあります。これは、糖尿病によって腎臓に影響が出ていることが原因で、尿に赤血球が混じると褐色に近い色になり、尿にたんぱく質が混じると濁ることがあるからです。さらに、腎機能の低下によって血液が混じったり、排尿自体が困難になったりするケースもあります。
独特なにおいがする
高血糖になると、血液中にブドウ糖が溢れて尿にも大量のブドウ糖が含まれます。尿にブドウ糖が含まれると、果実のような甘いにおいや甘酸っぱいにおいが出ます。独特なにおいなので、通常の尿では感じたことのないにおいを感じます。
通常は、食事から摂取したブドウ糖が細胞に吸収されてエネルギー源となり私たちの活動力となりますが、糖尿病によってインスリンの機能が低下すると、血液中のブドウ糖は細胞に吸収されず、脂肪や筋肉がエネルギー源として使われてしまいます。
エネルギーを作るために脂肪が分解されると、同時にケトン体が発生します。このケトン体が、果物のような甘いにおいがする原因になります。
尿に泡立ちがある
糖尿病患者の尿は、泡立ちやすくなる特徴があります。
健康な人は、血液中の老廃物や塩分をろ過する腎臓の働きによって、尿にはブドウ糖やたんぱく質は含まれていません。
一方で糖尿病患者の場合、高血糖は腎臓にも影響を与えて腎臓の機能が低下する恐れがあります。腎臓の機能が低下すると、血液の流れが停滞するため老廃物や塩分が正常にろ過されません。老廃物や塩分がろ過されないと、ブドウ糖やたんぱく質を含んだ尿を排泄してしまいます。たんぱく質を含んだ尿は粘りのある状態となり、排泄したときに泡立ちやすくなります。
健康な人でも脱水になると尿が泡立つケースもありますが、これは尿が濃くなっているためであり泡はすぐに消えます。しかし糖尿病患者の場合は、尿自体の粘度が高まるため尿に出た泡が消えづらいといった違いがあります。
尿に変化が見られたときの対処法
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尿に糖尿病の症状と思われる異常が見られたら、まずは医療機関へ受診しましょう。尿に異常があるからといって絶対に糖尿病とは言い切れませんが、医療機関で尿検査や血液検査を行い、それぞれの結果を照らし合わせることで糖尿病の発見に繋がります。
自覚症状がなくても、健康診断で尿検査を行った際に「尿糖が陽性(+)※」と出た場合は、詳しい検査のために医療機関への受診を推奨します。
血糖値が正常にも関わらず尿に異常が見られる場合は、糖尿病ではなく腎臓の病気が疑われます。糖尿病を含め、可能性のある病気を早期発見するためにも、自覚症状がある場合は早めに医師の診察を受けましょう。
※尿中に糖が検出されたことを示します。
糖尿病のその他の自覚症状

糖尿病で尿に異常が見られる場合、すでに病状が進行している可能性が考えられます。そのため、尿の異常以外にも以下の自覚症状が見られる場合があります。尿以外に糖尿病の症状が出ていないか、自分でチェックしてみてください。
口が渇いて飲み物をたくさん飲んでしまう
ここまでの解説でも述べたように、糖尿病には口渇の症状が表れるケースがあります。口渇によって多尿を引き起こしている場合もあるため、尿の異常と一緒に現れる可能性がある症状です。
運動後や暑い日に限らず口の渇きを感じる場合は、糖尿病の症状が出ている可能性があります。
倦怠感や疲労感を感じる
インスリンの働きが悪くなりブドウ糖がうまく吸収されないと、エネルギー源を作れなくなってエネルギー不足を引き起こします。エネルギー不足になると、なにもしていなくても倦怠感や疲労感があり、身体の異常を感じることがあります。
食べているのに体重が減少した
肥満のように内臓脂肪が増えると、インスリンの働きが悪くなる傾向があります。インスリンの低下によってブドウ糖をエネルギーに変えることが難しくなると、脂肪を分解してエネルギー源として使われます。そのため、糖尿病を発症した後はしっかりと食べているのに体重が減少する症状が現れます。
手や足にしびれや痛みを感じる
糖尿病となる高血糖の状態は、神経にも影響を与えて合併症である「糖尿病神経障害」を発症する可能性があります。
糖尿病神経障害では、手先・足先にしびれや痛み・冷えを感じる症状が多く、自律神経の乱れによって立ちくらみや便秘・下痢などを引き起こすケースもあります。
目がかすむ
糖尿病による神経への影響は、眼中の網膜にも影響を与えます。合併症のひとつである「糖尿病網膜症」を発症すると、目のかすみや視力の低下などの症状が出ます。
糖尿病を放置すると合併症のリスクに
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ここまでに出てきた自覚症状の中には、日常生活に支障が出る症状が多くあります。しかし、糖尿病を放置して重症化すると、足潰瘍で下肢を断裂したり失明・昏睡状態に陥ったりといった、さらに重大な合併症を引き起こす危険性もあります。
気付かないうちに糖尿病を進行させてしまわないよう、自覚症状がなくても健康診断で尿検査や血液検査に異常があれば、すぐに医師の診察を受けましょう。
また、生活習慣が原因で糖尿病を発症する可能性があるからこそ、生活習慣を改善することで予防できる糖尿病もあります。
野菜や低GI食品(血糖の上昇を緩やかにする食品)を積極的に摂り入れたバランスのいい食事を意識したり、アルコールやたばこを控える・運動不足にならないよう適度に運動を継続することが糖尿病予防に繋がります。
この記事を読んでいただいたことを機会に、日常生活を見直してみてください。
尿に異常を感じたら早めに医療機関の受診を
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糖尿病は、重症化すると尿の異常だけでなくさまざまな合併症を引き起こす可能性があるため、できるだけ早期発見をし治療を開始する必要があります。すでに糖尿病と診断されている方であれば、状態が悪化している可能性も考えられます。尿に異常を感じたら、まずは医療機関を受診して医師に相談をしてください。
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