【医師監修】糖尿病を防ぐ3大ポイント|今日から変えられる生活習慣

2025年06月12日

糖尿病は、一度発症すると生涯にわたり向き合う必要のある病気です。放置すると、様々な合併症を引き起こし、生活の質(QOL)を大きく低下させる可能性があります。

とはいえ、糖尿病は予防や進行の抑制が可能な病気でもあります。特に2型糖尿病は、日々の食事や運動、生活習慣を見直すことで、発症リスクを大きく減らすことができます。

この記事では、血糖値の専門家の視点から、糖尿病を防ぐための具体的な習慣改善のポイントを「食事編」「運動編」「生活習慣編」の3つに分けて、わかりやすくご紹介します。

「何を食べればいい?」「どんな運動が効くの?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

糖尿病とは?なぜ予防が重要なのか

糖尿病とは、血液中の糖(血糖)の濃度が慢性的に高くなる病気です。

その状態を放置すると、血管や神経にダメージが蓄積し、次のような深刻な合併症を引き起こすリスクが高まります。

さらに、糖尿病はこれらの合併症だけでなく、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気のリスクも高めます。

こうした重い病気を未然に防ぐためには、発症前からの対策が重要です。早い段階で生活習慣を整えることが、将来の健康を守る大きな一歩となります。

糖尿病を防ぐには?今日からできる予防法

糖尿病を予防するには、日々の生活習慣の見直しが不可欠です。特に「食事」「運動」「睡眠やストレス管理」の3つは、血糖値のコントロールに密接に関係しています。

ここでは、それぞれの視点から、今日から始められる糖尿病予防の具体策を解説します。

食事編:何を食べればいい?糖尿病予防の食事のポイント

糖尿病予防において、食生活の見直しはもっとも基本的かつ効果的な対策の一つです。特に2型糖尿病は、過食、脂質や糖質の多い食事、不規則な食事時間といった生活習慣が、発症リスクに大きく関係しています。

糖尿病を発症していない方でも、血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンの負担を減らすような食生活を意識することで、将来的なリスクを抑えることが可能です。

血糖値コントロールのための食事の基本
項目ポイント
カロリーの管理年齢・性別・体格に応じた適正なエネルギー量を守りましょう。過剰な摂取は、肥満や高血糖の原因になります。
栄養バランス炭水化物・たんぱく質・脂質に加えて、ビタミンやミネラルもバランスよく摂取することが大切です。偏食や単品メニューは控えましょう。
規則正しい食事時間朝・昼・晩をできるだけ決まった時間に。長時間の空腹や夜遅い食事は、血糖コントロールを乱す要因になります。
実践しやすい!食生活改善の工夫
工夫のポイント具体例
食物繊維を積極的に野菜、海藻、きのこ、玄米、麦ごはんなどを取り入れましょう。
油の量と質を意識揚げ物やバター、マーガリンは控えめに。調理は「茹でる」「蒸す」などを活用し、炒め物はオリーブオイルなどを少量で使用しましょう。
味付けを工夫する塩分の代わりに、出汁・香辛料・レモンや酢などの酸味を使って風味をアップしましょう。
外食は定食スタイルを選ぶ丼ものや単品料理より、主菜・副菜・汁物がそろった和定食を選ぶと、栄養バランスが整いやすくなります。
大切なのは「バランス」と「続けやすさ」

糖尿病予防では、「この食品はNG」「これだけ食べればOK」といった極端な制限よりも、何をどのくらい、どう組み合わせて食べるかが重要です。

たとえば

日々の食生活を見直しながら、無理なく、長く続けられる工夫をすることが、糖尿病になりにくい体づくりの第一歩となります。

運動編:血糖値を下げる運動とは?効果的な方法と頻度

糖尿病予防において、運動は食事療法・薬物療法と並ぶ重要な柱のひとつです。

運動を継続することで、体内でのブドウ糖や脂肪酸の利用が促進され、インスリンに頼らずに血糖が細胞に取り込まれやすくなります。その結果、血糖値の安定化が期待でき、血糖コントロールの改善につながります。

また、長期的には、インスリンの効きが悪くなる状態(インスリン抵抗性)の改善にもつながり、糖尿病の発症予防や進行抑制に役立ちます。

理想的な運動習慣の目安
項目内容
頻度週3~5回(可能であれば毎日)
種類ややきついと感じる程度の有酸素運動(全身を使う動きが理想)
時間1回20分以上、週150分以上を目安に
糖尿病予防におすすめの運動
種類具体例頻度1回の目安時間主な効果
有酸素運動ウォーキング、水泳、サイクリング週3~5回20~60分血糖値の低下、インスリン感受性の改善
筋力トレーニングスクワット、水中歩行、チューブトレーニング週2~3回筋肉量の維持・増加、ブドウ糖の消費増加
体操ラジオ体操、ストレッチ、ヨガなど毎日でもOK運動習慣の定着、ストレス軽減、代謝の向上
運動のタイミングも大切|「食後1時間以内」が効果的

食後1時間以内に軽い運動を行うと、食後の血糖値の急上昇を抑える効果が高いとされています。ウォーキングやストレッチのような軽い運動でも十分効果がありますので、“食後の習慣”として取り入れることがおすすめです。

「運動は時間がない」「続かない」と感じる方も多いですが、1日10分からでも構いません。まずは、エスカレーターをやめて階段にしたり、一駅だけ歩いてみるなど、自分のライフスタイルにあった無理のない範囲で始める事から意識してみましょう。

生活習慣編:睡眠・禁煙も関係あり?生活習慣の見直し

糖尿病予防には、食事や運動だけでなく、日々の生活習慣全体を整えることが大切です。

ここでは、「体重管理」「睡眠」「喫煙・飲酒」「健康診断」といった視点から、予防に役立つポイントをご紹介します。

適正体重の維持と管理

体重のコントロールは、糖尿病予防の基本です。特にBMI(体格指数)が25以上の方は、適正体重への減量を目指すことでリスクを大きく下げることができます。

といった習慣が、無理のない体重管理につながります。

質の良い睡眠とストレス対策

睡眠不足やストレスの蓄積は、ホルモンバランスを乱し、血糖値にも悪影響を及ぼすことがあります。

など、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。

禁煙・節酒の習慣を

喫煙はインスリンの働きを妨げるとされており、糖尿病リスクを高める要因のひとつです。また、アルコールも過剰摂取が血糖値の変動を引き起こすことがあります。

など、無理のない見直しを行いましょう。

定期的な健康診断を活用する

糖尿病は初期には自覚症状が少ない病気です。だからこそ、年1回以上の健康診断を受けることが、予防・早期発見にとって非常に重要です。

生活習慣の改善は、一度にすべてを完璧に行う必要はありません。まずは、自分にとって続けやすいことから一つずつ取り入れることが大切です。無理なく継続できることから始めてみましょう。

糖尿病予防に関するよくある質問

Q1.糖尿病は遺伝するのですか?

A1.糖尿病そのものが直接遺伝するわけではありませんが、「糖尿病になりやすい体質」は遺伝的に受け継がれる可能性があります。特に2型糖尿病は、こうした体質に過食・運動不足・ストレスなどの生活習慣が加わることで発症リスクが高まります。

ご家族に糖尿病の方がいる場合は、遺伝的な体質を受け継いでいる可能性があるため、日頃からの生活習慣の管理がとても重要です。

とはいえ、適切な食事や運動などを継続することで、遺伝的リスクがあっても発症を大幅に減らすことは十分可能です。今からできる予防に、少しずつでも取り組みましょう。

Q2. 糖尿病予備群と言われたら、必ず糖尿病になるのでしょうか?

A2.糖尿病予備群とは、血糖値が正常と糖尿病の中間の状態を指します。この段階ではまだ糖尿病とは診断されませんが、将来的に糖尿病へ進行するリスクが高い状態です。

しかし、糖尿病予備群の段階であっても、

など、生活習慣を整えることで、進行を防ぐ・遅らせることは十分に可能です。記事中で紹介している具体的な予防策を参考に、今から行動を始めることが何より大切です。

Q3. 糖尿病予防のために、特定の食品やサプリメントを摂ることは効果がありますか?

A3.結論から言えば、特定の食品やサプリメントだけで糖尿病を予防することは基本的にはあり得ません。予防において最も大切なのは、特定の成分に偏らず、バランスの取れた食生活を長く続けることです。

サプリメントについても、

も存在します。利用を検討する場合は、医師や管理栄養士など専門家に相談することが大切です。

まとめ:健康な未来のために今できること

健康な未来を築くには、日々の生活習慣の見直しが欠かせません。完璧を目指す必要はなく、今日からできることを少しずつ始めることが、将来の体を守る第一歩になります。

「血糖値が高めと言われた」「家族に糖尿病の人がいる」といった不安を感じている方にとって、今の選択が将来の健康に大きく影響します。食事や運動、睡眠などの生活習慣を整えることで、糖尿病は予防できる病気です。

とはいえ、「この対策で合っているのか」「医師に相談すべきか」と迷うこともあるかもしれません。そんなときは、医師のサポートを取り入れてみるのも一つの方法です。

糖尿病専門のオンライン診療サービス「ヤックル」では、まだ糖尿病と診断されていない段階でも、血糖値や生活習慣について気軽に相談できます。通院の負担なく、スマートフォンから医師のアドバイスを受けられるので、「いまのうちに予防しておきたい」という方にも安心です。

不安を感じたときこそ行動のタイミングです。まずは一度、話を聞いてみてはいかがでしょうか。

 

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監修医師

楢橋 和真

楢橋 和真

経歴
2011年3月
獨協医科大学医学部医学科卒業
2011年4月
千葉県がんセンター 初期研修
資格

一般社団法人日本救急医学会 救急科専門医

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