
生活習慣病――高血圧、糖尿病、脂質異常症など――は、その名の通り「生活習慣」が原因で発症・進行する病気です。特に、運動不足は生活習慣病のリスクを高める要因のひとつ。
体を動かす習慣があると、血糖値のコントロールや血圧の安定、脂質バランスの改善など、様々な健康効果が期待できます。逆に言えば、「運動を習慣にする」だけで、これらの病気を予防・改善できる可能性があるのです。
理想的な運動時間とは
厚生労働省が推奨する身体活動量の目安は「週150分以上、中強度の運動を行うこと」。例えば、1日30分の早歩きを週5日行うイメージです。
“中強度”とは、息が少し弾むけれど会話はできる程度の運動。ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、ラジオ体操などが該当します。
実は私も、毎日犬の散歩を続けています。これが完全に習慣になっていて、気づいたら30分は歩いているんです。理想を目指すより、“できる範囲”から始めましょうと、患者さんにもお伝えしています。
「理想的な運動」はハードルが高いという方におすすめの始め方
1日30分×週5回というのは理想です。でも、いきなり毎日は難しいという方も多いでしょう。そんなときは、週1回30分のウォーキングから始めるのがおすすめです。
無理なく始めて、少しずつ頻度や時間を増やすことが大切です。「続けられる」ことこそが、最も重要なポイントなのです。
日常に潜む“小さな運動チャンス”を見逃すな!
運動はスポーツジムで汗を流すことだけではありません。普段の生活の中にも、小さな運動チャンスがたくさんあります。
- スーパーの駐車場は、少し遠くに停めて歩く距離を稼ぐ
- 会社のトイレは、1階上のフロアのトイレを使って階段を利用する
- 最寄駅のひと駅前で降りて歩いて帰る
- 自宅でも、テレビを見ながらのストレッチやスクワット
こうした「ながら運動」でも、積み重ねれば立派な運動量になります。
生活習慣病の改善に必要なのは“継続できる運動”
生活習慣病は“習慣”が原因。だからこそ、改善の鍵も「習慣」にあります。
いきなり完璧な運動を目指すのではなく、「できた!」という成功体験を積み重ねることで、運動が日常の一部になっていきます。
習慣化のコツ:
- 毎日同じタイミングで取り入れる(朝起きた後・帰宅後など)
- 記録をつける(アプリや手帳)
- 家族や友人と一緒に取り組む
生活をちょっと変えるだけで、体は健康に
生活習慣病は、生活の中の小さな選択が積み重なって発症する病気です。
だからこそ、「少しだけ体を動かす」ことを毎日に取り入れるだけでも、将来の健康リスクは大きく変わります。
まずは週1回、30分の散歩から。 そこから新しい習慣を一緒につくっていきませんか?